「地雷を踏んだらサヨウナラ」

 この作品はちょっと賛否両論あるみたいだけれど、オレは好きですね。主演の浅野忠信の演技を肯定する か否定するかで評価が分かれるみたいだけれど、俳優の評価とはその演技が監督とシナリオライターの趣旨にどれ だけ沿っているかということでしょう。浅野さんの演技もそうした作者のコンセプトに乗っ取った形で演じられて いる訳だから、勿論その上で役者の上手い下手ってのが出て来る訳だけど、そうして見るとこの浅野さんは絶 品だと思いますね。とても演技してる様に見えない。

 この作品に批判的な人はそこが「演技と言う物は自然なら何でも良いと言う訳ではない、 作品のコンセプトに乗っ取った形で計算して演ずるのが演技だろう」と言うけれど、それはオレに言わせる とこの作品の趣旨を全く理解出来ずに言っているのではないかなと思う(偉そうにすんません)と言いつつオレの 言う「この作品の趣旨」が全くの勘違いってこともあるかもなのだけど、いや……それは無いかな。

 この作品観た方は どう思われるか分からないけど、オレが思ったのは「無鉄砲のロマン」ですね、誰しも若い頃に感じたでしょう、 勿論それは若さ故なんだけど、"無茶をすること”の素敵さを。それは若い頃にしか無かった、だからこの映画の泰造は 若い頃のまま消えて無くなってしまう。

 戦場で危うく死にそうな目に遭って助かった時に見せるこの輝く様な 生命感はやっぱし非凡だと思う。あの笑い方、遠くを見る目、勿論現実にいた泰造はこんなに誰にでも好かれる 超が付く好青年だったかは分からないけれど、わざわざ平和な日本の暮らしを捨てて大量殺戮真っ只中のカンボジア に単身飛び込んで行って夢中になって写真を撮り続けた彼の生き様、彼のロマンは実感となって見る者に伝わって 来ましたね。オレ好きですよ。



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