「十二夜」

TYPS ACTOR'S GYM #2(2005年2月24日高円寺明石スタジオ)

オレ的にはシェークスピアの芝居はやっぱり完璧に絢爛たるセットを組んで、衣装もメイクも完璧に作 ってやって欲しいと思う。前に蜷川幸雄さんがコレを素舞台でやったことがあったけど、アレもイヤだ ったなぁ。後舞台を現代に移したレオ様の映画「ロミオとジュリエット」も全く集中出来ず途中でリタイアして しまった。映画「ヘンリー三世」もダメだったなぁ。やっぱりシェークスピアはその時代をリアルに再現したの でないと乗れないのかな。すぐ浮ぶのはやっぱオリビア・ハッセーの「ロミオと・・」や古いローレンス・オリ ビエ並びにオーソン・ウェルズ作品ですね。クロサワ「蜘蛛巣城」は絶品だったけどアレは戦国時代だったから 上手く移し変えられたのかな・・・。まぁいいや(笑) とにかく舞台でやるなら絢爛たるセットをちゃんと組んでやってくれないとその時点で醒めてしまうんだよねぇ。 だけど役者にとってシェークスピアをやると言うことは凄く良い訓練になるんじゃないかな。あの延々たるセリフ 回しを淀みなく、聞いてる方が心地よく酔える様に、それでいてニュアンスも明確に伝わる様に吐ける様になれば もう滑舌も表現力も完璧と言って良いんじゃないか。今回の公演もタイプスさんに所属する若手の研修生たちの発表会 的な趣旨らしいから演目としては良いのでしょう。しかしコレにお金を払って観る純粋な観客としては不満は拭え ないよなぁ・・・役者さんたちは本当に良く練習した後が見受けられ好感を持ったのだけれど、コレを明石スタジオ でさしたるセットも組まずには無いでしょう! 「十二夜」の内容はウリふたつの男女の双子が船旅中に遭難し、 女の子がある国に流れ着いて助かる。その国の王様はある貴族の娘に恋してるのだが娘は一向に王様の想いを 受け入れる気配がなく、王様は日々悶々と悩んでいる。その王を哀れと思った女の子は男装してその王に仕え、 王が想いを寄せる貴族の娘への恋の使いとして何度もその娘の元を訪ねるのだが、こともあろうに娘はその男装 した女の子に恋をして・・・と言う騒動が展開し、最後は死んだと思っていた双子の兄が登場して思いもよらぬ 大団円を迎えると言う楽しい物語。しかし冒頭の双子の乗った船が遭難した経緯や、主役の女の子が男装して王の 想い人のところへ通う経緯等の説明が省略もあって不明瞭だったせいか、この物語に始めて接した観客には何やって んだかワケ分からなかった人が多かったみたい。コレは金を取って見せる作り手側の責任デスゾ。ともあれ本当 に一生懸命だったと思われる役者諸君には拍手でしたけどね。



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