当プロジェクトの「１２人の怒れる男」に続く名作シリーズ第二弾。かのジャック・ニ
コルソン＆ルイーズ・フレッチャーが主演男優＆主演女優賞をダブル受賞し、その年の監督
賞も作品賞も独占してしまったかの名作映画の原作舞台！
いや〜懐かしいですね、この映画を高校時代に観て、意識に反して沸き起こる感動を覚
えた衝撃が蘇りました。
ここのプロジェクトはなかなか観ることの出来ない古典名作のテイストを再現してくれて勉強
になります。専属の役者さんは数人だけなのに、毎回何処から連れて来られるのか、実に魅
力ある役者さんたちが参加しています。
今回も精神病院の患者役等本当に素晴らしい演技を見せる方が何人もいました。オレは
元々演劇よりも映画が好きだったので「１２人の…」も映画の方を先に観ているんだけど、小
説を原作とする映画は「元の小説の方が良い…」って良く言うけど、舞台劇の映画化にそう
感じたことは無かった。でもここの芝居を観て初めて「舞台劇の映画化も、やはり元の舞台の
方が良いのではないか」と感じましたね。
そりゃ原作者は舞台を想定して書いているのだから当然かもしれないけど、ヘタな役者や
演出ではその良さは伝わりませんよね。
インディアンのチーフの幼い頃の経験やマクマーフィがベトナム帰りと言う件等、映画では
描かれなかったことも沢山あった。
あと余談ですけど、オレ前から思ってたんだけど、以前にここの「決定版・熱海殺人事件」
等にも出演している "孤高の肉体派ピン芸人" コンタキンテさんは顔立ちといい表情といい
ロバート・デニーロに似てます。今回は主役のマクマーフィとベトナムの戦場で知り合いだっ
たと言う設定でますます浮かんでしまった（笑）個人的に是非物真似を希望します！
それとポイントは映画版で主演男優賞と共に主演女優賞を取った看護婦長ラチェッドです
ね、彼女だけは他の登場人物と違い、過去の経緯等は一切語られずに他の出演者たちを
全部向こうに回したヒールの存在で、言わば作品の全てを牛耳っている。
看板女優の加藤久美さんがこう言う役をやるのは珍しいけど、逆にその分深い役作りを
味わうことが出来ました。
表情ひとつ変えず氷の様に振舞う様子はさすがでした。ストーリーや舞台ならではの状
況設定の面白さが存分に発揮された見応えある舞台でした。