「蒲田行進曲」
舞台作品の映画化って概して上手く行かないことが多いですけれど、こ〜れはまさに奇跡の大傑作ですよねぇ。
オイラも養成所に通ってた頃銀ちゃんが小夏に指輪を渡して断られる件とか、ヤスが階段落ちを前に酔って暴れる件をやりましたよー。
今でも台詞言えますよ「……俺の背中の孤独の孤の字が見えねぇのかよ!」「……戸籍は屁よりも劣るのか!」とか懐かしい懐かしい(笑)。
当初はあ〜の独特な "つか節" の長台詞が映画に上手く乗る訳が無いと思われてたらしいですが、どうですかこの深作演出による怒涛の様にスピーディで心揺さ振られるドラマ展開は!
突然変わる照明や雷のSE、また舞台の場面転換の様なシーンの移り変わり等、舞台的な演出が転用されていますけど、もし作品が詰まらなければ「やっぱし舞台の映画化はダメなんだ」という理由になってしまうところを、感情移入出来れば全てが良い方へ作用して気持ち良くなってしまいます。
情感を煽る甲斐正人の素晴らしい音楽は今でも時々酒飲んで聴きながら号泣すると良いストレス解消になる(笑)。
誰しも社会人として生きていれば少なからず大部屋な思いをしている訳で、苛められても我慢してたヤスが自我に目覚めて暴れ出すところには強烈なエモーションを感じてしまいますね。
階段落ちして血みどろになって這い上がって行こうとする様には号泣です(笑)出てくる涙の分だけ自分の中にいるヤスをさらけ出されてしまいますね。
オレ舞台版も何度か観ていますけど、映画用に書き換えたシナリオは全く素晴らしかったですね。深作監督によって見事な映画作品として昇華されていました。