坂本竜馬が海援隊を作る前に長崎で作った、今日の海運会社の原形とも
言える「亀山社中」の物語。
と言っても中心人物である竜馬は登場せず! 前にこの劇団で吉田松陰の話を本
人を登場させずに描いた「あなたのすべて」と同じアプローチかと思ったら、今作で中
心的に描かれるのは坂本竜馬ではなく亀山社中のメンバーで、それぞれの思いを胸
に生きて、また志半ばにして死んで行った男たちにスポットを当てたストーリー。
そう言えば昔司馬遼太郎の「竜馬が行く」を読んだ時にそんなエピソードもあったなぁ、
と思い出す程度の脇で活躍していた人物たちの活躍が描かれる。
ここのオリジナル作品の特色は壮大な歴史ロマンを小劇場空間の素舞台で少人数
の役者が何役も演じ分けると言う手法で表現してしまうこと。
本作もまるで大河ドラマを見ている様な壮大さがあり、多くの登場人物たちの群像劇
でもあって、しばし歴史ロマンに感慨を覚えさせながらも気がつくとカーテンコールに並
ぶ役者は僅か4人であると言うことに驚かされる。
一体一人が何役を掛け持っていたのか、こんなに演じ分けて精神分裂にでもならない
のか? とまで心配してしまう(笑)。
暗転に継ぐ暗転で細切れに繋がれて行くシーン展開、映像的な場面をセットも組ま
れていない舞台で照明と音響だけで無理やりに再現。ベタに入って大音量で鳴り響
くBGM、こういうスタイルって本来集中して見れないし、暗転で繋ぐのって台本書くの
も楽なんだけど話がブツ切れになって観てる方は辛いはずなんだけど、ここのお芝居
だけは飽きずに終わりまで楽しく観てしまいます。
展開の全てを歴史の事実と言う物が裏付けているからなのかな。とも思うけど、作・
演出の坂田俊二さんにちなんでコレを "サカタマジック" と名づけてしまいましょう。
いつもながら小劇場の可能性を最大限に示してくれる劇団だと思います。
それといつも演出家自ら? なさっている音響のBGMセレクトが良いですね。広大
な海に思いを馳せるシーンでは前の「コロンブス」や「あいすくりん」でも「太陽がいっぱ
い」でした(笑)でもそれが上手くマッチして良い感じなんですよ♪ 他にも歌謡曲から
オールディーズまで要所要所に流れる選曲が良いですね、BGMの曲目リストをパン
フに掲載して欲しいくらいです。
それと今回はSST(サニーサイドシアター)プロデュースと言う名前でなく、かつ事務
所と言う名前になってますけど、変えたんですかね。