「家族」
現役で活躍している日本の映画監督の中では間違いなく第一人者である山田洋二
御大の、1970年作品。今から40年も前に既にこんな素晴らしい映画を作っていたんで
すねぇ。
時は高度経済成長真っ只中の日本。井川比佐志演じる夫と倍賞千恵子の奥さん、幼い
子ども2人、それに笠智衆演じるお祖父ちゃんの家族5人が、仕事の無くなった九州の長
崎から北海道へ移住する為に、日本列島を横断する旅に出る!
旅の途中兄妹の家に寄ったり(確か前田吟だったかな)神戸の万博会場が出てきたり、
当時の風物が描かれる。
誰しも子どもの頃に、引越しや帰省等で一度はこういう家族道中の旅をした経験はあ
りますよねぇ。
山田監督はある時電車に乗っていたら、この映画に出て来る様な、お祖父ちゃんから
子どもまで連れた家族連れが、疲れ果てて座っている姿を見て「あ〜この家族はこれから
どうするんだろうなぁ」という思いに駆られたそうで、それがこの作品の発想になった
そうな。
終盤過酷な旅路に疲れ果てたお父さんが、思わず愚痴を漏らした時に、それまでずっと
黙っていた笠智衆のお祖父ちゃんが怒って「お前がそんな弱気でどうするんだ」と説教
するところはポロポロ泣いてしまいますね。
最後とうとう北海道の親戚宅に辿り着いて「よく来ましたねぇ」と迎えられた時の
一同の抜け殻みたいな表情には爆笑でしたけど。
こ〜の途中余りに過酷な旅路の果てに、最後に希望を見出して行くラストは本当に
素晴らしかったですねぇ。