「家族はつらいよ」
ひとことで言うと橋爪功さんの役者としての名人芸を堪能する感じだ。
山田洋次監督なんてもう大御所中の大御所なのだし、歴史的に見てもかの小津安二郎と同じかそれ以上の存在を示していると思うのに、ここへきてなんですかこの「東京物語」への過剰とも思えるリスペクトは。
橋爪さん演じるお父さんの部屋に何気なく置いてあるDVDがソレだっただけでも充分な気がするのに、橋爪さんが鑑賞してる本編を3カットも見せて、その上「何見てるの?」と問う奥さんに「小津安二郎」と名前まで言わせている。
どうしてなんだろうと考えてみるに、もしかして「若い人に知って貰いたい」のかなと思いました。というのは最近セルジオ・レオーネやサム・ペキンパーの話が出来る若い女子がいて感激し「なんでそんな古いの観る気になったの?」て聞いたら「バックトゥザフューチャー3」の西部劇編で、過去にマーフィが落ちた渓谷が現代に戻った時に「イーストウッド渓谷」て呼ばれているネタが解らず「イーストウッドって誰?」と興味を持って古い映画を観たらハマったとのこと「家族はつらいよ」もそんな風に若い人が小津安二郎を知るきっかけになれば……って思ったのかな、と考えたワケです。
しかし本当に本当に、橋爪さんもそうだけど、山田監督も名人ですね。観客を笑わせるだけ笑わせながら〜ちょっと考えさせ、最後にはホロリとさせて、ソレを味わいに来た観客の期待を決して裏切らない。さすがですあねぇ。