「キル・ビル」
しばらく音沙汰ないから「やっぱり一発屋でいなくなっちゃったのか……」と思っていたカン
ヌグランプリ監督のタランティーノ6年振りの作品! 楽しい楽しい映画好きの為の映画好きによる映画。
深作欣二に
憧れてチャンバラをやりたくてたまらなかった男の遊び心満載! 刀で腕切り落とされて血がブシュー
っ! ってのがやりたかったんだろうね(笑)階段落ちも出てくるしヒロインは死亡遊戯の服を来て、
千葉慎一演ずる服部半蔵に作ってもらった日本刀で戦うノダ。復讐、対決、殺し屋……かつて夢中にな
って見て来た映画のケレンミたっぷり、でも今マジではああ言う映画は作れない。でもそれをタランテ
ィーノ独自の遊びタッチで違う見せ方をする事で楽しませてくれる。「遊び心満載」の映画ってなかな
か作り手程には見てる方は楽しめないんだけれど、これはオモシロいね。センスと言えばそれまでだけ
ど、やっぱりタランティーノの場合はたくさん映画を見てるだけじゃなくて劇映画のオモシロさのテイ
ストを根本からしっかりつかんで再構築しているからなんだと思う。遊んでるだけじゃなくてドラマがち
ゃんと出来ているから。「レザボア…」の次の「パルプ・フィクション」「ジャッキーブラウン」は
監督の趣味が過ぎて抒情的にダレる傾向があったので今回もどうかな……と思ってたんだけど、もう
すっかりタランティーノは王道を行く映画作りは放棄してしまった様ですね(笑)個人的に
はあの戦列にデビューした「レザボアドックス」の洗練されたタッチで突き進んで欲しかったんですけど、
まぁ悪く言えば "本物では無かった" 良く言えば "コレが私の道なのよ" ってなことなんでしょうか。
本作はもう殆どパロディかハリウッド資本の自主映画みたいなノリで突き進んでいます(笑)まぁ観る
方も文句言ってても始まらないので割り切ってどっぷり楽しんじゃいましたけど(笑)しかしヘンなヤツ
ですよねぇ〜ラストのルーシー・リューと雪の中で決闘する時にかかる「修羅雪姫」なんてオレでさえ
見たこと無かったですよ、一体ど〜ゆ〜映画オタクなんだキミは!(笑)しかして本作でタランティーノ
のイメージは確立した感がありますね。要はふざけた映画を作るヤツだと。いろいろ言いながらも
エンドクレジットに流れる梶芽衣子の「恨み節」には何か言い知れぬ痛快さに拍手してしまった(笑)