「キリマンジャロは遠く」

 最近では「相棒」の恐い上司ですけど、片桐竜次さんといえばその昔「大都会パート3」の第1話でトラックの荷台から追ってくるパトカー軍団にバズーカ砲ぶっ放してたのが鮮烈でした。

 大好きだった「大追跡」「探偵物語」「プロハンター」……で狂暴な恐い役ばっかしだった名悪役さんが、俳優生活45周年の初主演だそうで、どうですかこの味わいは! 存在その物が絵になる感じ。

 枯れた味わいの名脇役が主演した映画といえば、デビッド・リンチがリチャード・ファンズ・ワースを主演に撮った「ストレイト・ストーリー」とか思い出します。

 物憂いシャンソン、煙草の煙、夜の都会〜とムードテンコ盛り! それもその筈、監督は前出の所謂火曜夜9時〜の日テレアクションに徹した脚本家として活躍されてた柏原寛司さんやし。

 監督が趣味に特化しなければ今時こんな場末な雰囲気の暗黒映画は作られませんやね。お金が掛かってないのがまた良いですよ。いや〜楽しかった♪

 そ〜してまた当時の懐かしい俳優さんたちが随所に散りばめられて……病院の屋上で一緒にタバコ喫ってた看護師さんて竹田かほりさんですよねぇ「ああ〜っ」と声出しそうになった。長谷直美さんやケーキ屋ケンちゃんまでが登場し、懐かしいったら!

 トークショーのゲストだった武蔵拳さんが言ってた「ラストに竜次さんから拳銃を受け取る芝居を、もっと二人でじっくり見せたかった」ってのよく解りました。

 あえてアッサリ流したのは監督のハードボイルド演出ってところでしょうか、でも正直何故ラストで撃ったんだろう……って、トークショーで聞かなきゃ分かりませんでした。

 ポスターの容貌はチャールズ・ブロンソンを思わせるけど、オレ的にゃ「ガルシアの首」や「デリンジャー」のウォーレン・オーツみたく主演作を重ねて欲しいですね。



リストに戻る