「荒野の決闘」
オレの好きな映画五本の指のうちの一本です。ヘンリー・フォンダ演ずるワイアット・アープ! コレを観た時は「何処で何を勉強すればこんな男になれるのか」と思ったものだ(笑)あ〜オレは将来こんな男になりたい。
人目には物静かで朗らかだけど、何があっても動じない肝っ玉、そして呑気そうで多少ユーモラスでさえあるのに自分のやるべきことは絶対にやる信念の強さ。自分が何を基準に行動すべきかの価値判断がハッキリしており、それはどんな逆境にあっても揺るぐことはない。
うう〜身体全体から滲み出るこのカッコ良さ! そして画面いっぱいに晴れ渡る青空(白黒だけど)ジョン・フォードスカイの清々しさよ! コレ観るとワイアット・アープ=ヘンリー・フォンダ以外にゃ考えられませんね。
「OK牧場の決闘」も面白かったけど、コレに比べるとハリボテの子供向け漫画に思えちゃうくらい。ワイアット・アープと言えば後年実在のアープを実録風に作ったケビン・コスナー版のなんと眠かったことか、マジあの映画ワースト10に入るね、もう眠くって眠くって、眠っても眠ってもまだやってたっけ。カート・ラッセルの取ってつけた様な髭のワイアット・アープも酷かったですね。
同じワイアット・アープとクラントン兄弟の対決を描いたあの二作品が何故あんなにも詰まらなかったのか、そのヒントはあの二作品がどちらも「史実に忠実である」と言うことではないかな。
この場合史実に忠実な程詰まらない物は無いですよ、肺病病みで死にかけのドク・ホリディが本作では筋肉隆々のビクター・マチュアなのがおかしいとか言ってますけど、この逞しい自滅型男がまた良いんですよ。オレ的にはドク・ホリディは顔色悪くてヒョロヒョロよりも断然筋肉マンのコレですよコレ。
実際にあったOK牧場での因縁の決闘を題材に巨匠ジョン・フォードが高らかに歌い上げた西部男の叙事詩賛歌ですね。リバイバルで観た時は原題の「いとしのクレメンタイン」でしたけど、そっちの方がずっと良いと思った。