「荒野の用心棒」
言わずと知れた、おそらくオレの思うに「最も低予算で作られて最も世界で有名になった映画ベストテン」に入るんじゃないかな。
監督のセルジオ・レオーネ。主演のクリント・イーストウッド。音楽のエンニオ・モリコーネはこれで一気に世界の人になった!
しかもストーリーはまるっきし黒澤明「用心棒」の刀を拳銃に置き換えただけ!
イーストウッドはそれまでアメリカのテレビ「ローハイド」とかに出ていたけれど、いまひとつブレイク出来なくて伸び悩んでいたところを、この映画でイタリアからお呼びがかかって行ったそうだけど、実はその前にイーストウッドは既に黒澤の「用心棒」を見た
ことがあって、これは西部劇に置き換えれば面白い映画が出来るだろう……と思っていたのだとか。
後にカンヌ映画祭に黒澤明が来た時にイーストウッドが黒澤の前に躍り出て挨拶し「今日の私があるのは貴方のおかげです」と礼を述べたとか。
ストーリーは殆ど同じとは言え、レオーネ独特のこのカット割り! モリコーネの哀愁溢れるテーマ音楽、イーストウッドのこのニヒリズムは三十郎の豪快さとは陰と陽の様に対照的だ。
後にレオーネの作品全てにこのニヒリズムと哀愁はモリコーネの音楽と共に漂い続けていく……レオーネは生涯に6本の映画しか撮らなかったけれど、どれも狂おしい程に切なくてカッコよくて大好きだ。
でもきっと彼にそこまで凄い映画を作らせたパワーの源のひとつはやはり黒澤によって触発されたモノなんだろうな。