「狂った果実」
これこそが後にフランスへ飛び火し「勝手にしやがれ」「気狂いピエロ」を生み出し、それがアメリカで「イージーライダー」に始まるニューシネマブームを生み出したという、原点になった映画ですよ〜。
冒頭突っ走るボートの船尾から海を捉えたショット、飛沫をあげて飛び散る波がまるでドロドロとした川の水のようで不気味! そしてブビィ〜と被さる怖い音楽! いや〜クールでしたねぇ。
後に東京都知事として威張ってたオジサンが生み出した小説が原作なんですよ!
昔から言われてる「今時の若いもんは」って言葉で形容されるその時代の若者文化とでも申しましょうか。
コレはそんないつの時代にも形を変えて出現する若者文化のひとつ? 湘南ヨット族の世界観を描いた作品でした。
実は真面目で後に都知事になった兄貴が、自由奔放に遊びまわるクールな弟の世界を羨んで? 描いたという様なことを何処かで読みましたけど。
こ〜のエキゾチックな岡田真澄を先頭とする湘南ヨット族の無軌道な行動や、ボソボソとクールな物言いがとにかくカッコ良くってねぇ〜。
確か石原裕次郎は奥さんの北原三枝さんと出会ったのがこの作品じゃなかったかな、無理やりキスしようとしてひっぱたかれて、唇から血を流してニヤリと笑う顔が鮮烈でした。
そしてこのラスト! 逆光で捉えたギラギラ光る波の中をヨットに突っ込んだボートが何処までも突っ走る絵が印象に残っていますね。
かのマカロニウエスタンに飛び火しイーストウッドを生み出した「用心棒」もそうだけど、かつて日本の映画って世界に影響を及ぼす凄いモノがあったんですよねぇ。