「リトル・ブッダ」
かの「ラスト・エンペラー」を撮ったイタリアの巨匠、ベルナルド・ベルトルッチがお釈迦様の生誕と生
まれ変わりに挑んだ興味溢れる作品でしたけど……。その顛末がねぇ…まぁそれは置いといて。アメリカにキリスト
アリなら日本にはお釈迦様アリでしょう? 日本は仏教の国なんだから(神道もあるか…)お釈迦様の生い立ち
とか、どんな人でどんなことをしたのだとか、知ってる人は少ないんじゃないかな。この作品は現代のチベットに
暮らすラマ僧たちが、予言によってお釈迦様の生まれ変わりが誕生すると言う世界の国へ生まれ変わりの子供を
捜しに行くと言う物語で、その生まれ変わりとされるアメリカに住む少年にスポットが当てられます。そこには
インテリなお父さんとお母さん(ブリジット・フォンダ!)がいて、ある日突然訊ねて来た年老いたラマ僧たちに
戸惑いつつも説明を聞くに連れて興味を抱き、やがて連れられて遠くチベットへと旅立って行く……。そしてそこに
は世界からお釈迦様の生まれ変わりの候補として連れて来られた3人の少年少女がいて、果たして誰が本当の生ま
れ変わりなのか……な展開になってくんだけど、ラストはちょっと肩透かしを食らった様で釈然としませんでした
ね。でも途中、再現されるお釈迦様の誕生〜生い立ち、そして出家し、どんな修行を経て悟りを開いて行ったのか
……な描写が絢爛たる映像で展開される様は圧巻です。この若き日の釈迦を演じたキアヌ・リーブスが素晴らしか
ったですね。それにオレ個人としてはいつも注目しているブリジット・フォンダ。この人はかの才人ピーター・
フォンダの娘つまりヘンリー・フォンダの孫娘でジェーン・フォンダの姪なんです。出演する作品によって全く
違う役作りをしていてまさに変幻自在! 本作ではお釈迦様の生まれ変わりではないかとされる少年の母親役を
実に自然なインテリジェンス溢れる存在感で演じていました。他にスタッフとしてベルトルッチとは「ラスト・
エンペラー」以来の付き合いである音楽の坂本龍一。それに映画カメラマンとしては世界一流? とされる「地
獄の黙示録」等のビットリオ・ストラーロの微妙な色を使い分けた映像が見事でした。