「マッドマックス 怒りのデス・ロード」
ジョージ・ミラーはキケンドラッグやりながら撮影したんじゃないのか! ブタとペンギンの映画ばっかし作って長年の欲求不満が大爆発したんですかね。
マッドマックスはポンコツな車と乱暴な撮影が売りだったのにCGかよ……って少し斜に構えてたんだけど、始まってみたらあ〜た。どうですかこのブッ飛んだ世界観は!
予告篇はまるっきし「2」のリメイクな感じやったけど、本作の悪者が支配してる帝国みたいのは「サンダードーム」のバーターシティな感じだ。あのアート感は共同監督だったジョージ・オギルディって人のセンスかと思ってたけど、本作を観ると実はあのブッ飛んだキャラたちやアーティスティックな造形こそがジョージ・ミラーの真骨頂だったんですね。
荒廃した砂漠の崖の上にある悪者の基地! 巨大な水道管から巻かれる水に群がる汚い人間たち! 太った女たちのオッパイに管を付けてミルクを作ったり、髭面の赤ちゃんみたいなオッサン……。
悪玉のデザインは「悪魔のいけにえ」だったヒューマン・ガスからヘビメタに振り切ってますね。ドンドコ太鼓叩いてボロ車軍団が出動して、カーチェイスの間中ダブルネックのエレキ弾いてるヤツ大爆笑! まさに動くヘビーメタルだ。
冒頭早々例のV8インターセプターがやられて捕まったマックスのことを「輸血袋」って呼ぶから何かと思たら……山海塾みたいな裸に白塗りの戦闘員が車の前に吊るしたマックスから輸血しながら運転してるし(笑)「2」にもあんなふうにトラックの前に吊るされてる人たちいましたね。
白塗りの戦闘員の他にも日本の影響が多々ありますね、悪玉の仲間は鎧兜みたいの被ってるし、バイクに乗ってる山賊はハンニャかナマハゲみたいなお面してるし「2」にも日本刀持ってるヤツとかいたけど、当時メル・ギブソンが監督と「用心棒」観たと言ってましたね。
これ以上無いというくらいのド迫力だし、カメラ路面スレスレに走りながら後続車が追い抜いたり、古典的な "早回し" を使ったり、懐かしいジョージ・ミラーのタッチは健在なのだけれど、やっぱし心の何処かで「CGだしなぁ」と思ってますね。アクションもあまりにパカパカカット割りし過ぎて時々何やってんだか分かんないし。
今回マックスを演じた役者は知らなかったけど「ダークナイト」でヒューマン・ガスだったのね(笑)今回はマックスよりもシャーリーズ・セロンのがずっとカッコよくてキャラ立ちしてました。
あとラストには戦いの後の情緒が欲しいですよ。エンディングの曲までうるさすぎて余韻もクソもねぇんだもの。きっと監督は編集中もドラッグ効きっぱなしだったんじゃないかな。
やっぱしメル・ギブソンの印象が強いせいか「2」の夕陽にひとり佇むマックスの姿を思い出す。ブライアン・メイの音楽も哀愁があった。