「マグニフィセント・セブン」
血沸き肉踊らない……
そもそも出発点としてサム(クリス)は何故金にも名誉にもならない農民の頼みをああもアッサリ引き受けたのか……ここは大事なとこですよねぇ、そ〜れがずっと気になって入り込めないまま話が進む。せめてそれらしい素振りでも見せて、きっと何か因縁でもあんだろな……くらい思わせてくれりゃまだついて行けるのに、最後ラスボス倒す時になって説明されてもなんだかなぁ……という感じだ。
他のガンマンたちの描き方も表面的で極めて雑だ。イーサン・ホークは南北戦争の優秀なスナイパーで、人殺しすぎでPTSDなって人が撃てなくなっちゃったみたいなんだけど、描写がひじょーに中途半端で心に響かない。彼の相棒の東洋人なんてインパクトあるキャラなのに、二人の友情も気持ちに訴えてこない。イーサンは後半何で一人で逃げちゃって、また戻ってきたの?
インディアンはただウロウロしてたら知り合って、サムに鹿の心臓あげたら喰べたから仲間とか、彼だって部族から追放された? かなんか事情抱えてるでしょうに、こっちは知りたいんだから描けよ!
説明しないのが流行りなのかもしれないけれど、それぞれがどんな経緯でこの戦いに加わるのか、それぞれにバックボーンがあるのが群像劇の醍醐味じゃないか。スッ飛ばし過ぎでしょう。彼等の人柄が心に触れてこないんじゃ感動もクソもない。ドラマの味わいがことごとく削がれてしまった感じだ。
「七人の侍」のコンセプトは人間を描く力を弱めることなく活劇を描く……だったんじゃないのか「荒野の七人」もかなりスカスカだったけど、7人のガンマンがそれぞれ人的魅力に溢れてたから、一人また一人と倒れていくのに悲壮感があったのだ。
最後のエルマー・バーンステインのテーマ曲だけが燃えた。