「マルタの鷹」
ハードボイルドというジャンルを作り出したダシール・ハメットの
小説を原作とする。確か2〜3度目の映画化だったらしいけど、本作以外は全
く知りませんね。
何しろハンフリー・ボガートですよ! こ〜の押しの強さ! 容赦なく捲く
し立て、追い詰めるこの迫力はどうですか!
これ以降私立探偵物というジャンルは大きく発展し、ハメットに影響された
レイモンド・チャンドラーやロス・マクドナルド等の後継作家を生み出し、それ
等も続々と映画化されて行ったのでした。
本作のボガートが私立探偵のスタイルを確率したとはいえ、やはりボギ
ーの探偵像は独創的で全く誰も真似できませんね。
独特の声や喋りは彼の個性そのもので、後にチャンドラー原作の探偵フィリップ・
マーロウは他にもいろんな俳優がやったけど、それもやっぱ「三つ数えろ」でボギー
が演じたのが決定打で、他のはショボく感じられた。
それと本作が監督デビューだったらしいジョン・ヒューストンの演出も素晴らし
かったですねぇ。
映画を観た後で原作を読むと、他のキャラたちも含めてイメージに全く違和感が
ないのが凄い!
何しろボギーの探偵像はダシール・ハメットが創造した探偵像がそのまま具現化
した様ではまり役でした。
願わくばクロサワ「用心棒」の原作? でもあるハメットの長編デビュー作「血の
収穫」もこのボギー主演で映画化しておいて欲しかったですねぇ。
本作のボギーを知ってから「血の収穫」を読むと、主人公のボギーの映像が目に浮
かぶようでした。