「道」
こぉ〜れ名作ですけれど、考えてみればヤーな映画ですよねぇ。
そりゃ可哀想だし、このジェルソミーナって本当天使みたいだと思うけれど、
あのアンソニー・クイン! 確か胸に鎖巻いてそれを筋肉で斬ると言う見世物でジェルソミー
ナがドラムロールみたく太鼓を叩くんだったかな。
貧乏な家に生まれて、大道芸人のアンソニー・クインに売られて、無理やりバイクで二人
乗りして旅するんだよな。
否応無く、自分にゃ何の権利もなく。恐い男に連れられて、行きたくもない地方を転々
とさせられて、それでも行かなきゃしょうがないから一緒に連れ回されて……。
まぁこう見えてオイラも「人生は我慢だ」とは思ってんですけどね、この映画観るとまさしく
人生の「道」ってなぁこう言うことかもなぁとも思うのだけれど、でもあんまし可哀想でしょう?
もうほぉ〜んとコレ「火蛍の墓」のせっちゃんか「誰も知らない」のアポロチョコの子と
同じくらい可哀想ですよ。
まぁ最後に「鬼の目にも涙」であの粗暴な男が涙に咽ぶと言うのはある種の救いなん
かもしれませんけれど、それで何? それで観てる観客は皆救われるのか?
まぁそれは好みや感じ方等もあるだろうけれど、オレなんかは「殺人まで犯しておいて、
あんな粗暴な奴がいくら後悔して海岸でひとりで泣いたからって許せるかい!」と思って
しまった記憶があるな。観た時若かったし。
オレに言わせればジェルソミーナと言う天使が粗暴な男に与えた心の優しさ……と言うより
は、ひとりで野垂れ死にしたジェルソミーナの方が可哀想で遣り切れないでしょう。
でもまぁ、フェデリコ・フェリーニの中では一番有名な作品と言えるのかな。このニーノ・
ロータの音楽も映画史上に残るでしょうね。