「マイノリティリポート」
スピルバーグの近未来ヒッチコック? サスペンス。
未来世界の警察の設定が面白い。それは予知夢を見る能力がある超能力者が見る未来に起こる犯罪を映像に写し出し、その犯罪が起こる前に犯人を検挙してしまうと言う……。
つまり犯人はまだ何もしていないのに未来に自分の犯す罪の為に逮捕されてしまうと言うのだ。
まずこのいつも水に浸かって眠っている三人の超能力者がユニーク。見てて「この三人が死んでしまったらその後はどうするんだろう……」とか考えてしまった。
でこの未来の犯罪を防ぐ警察のやり手警察官であるトム・クルーズがある日映し出された予知夢を見ると、あろうことか自分が殺人を犯す場面が映し出されている!
大変だ! 未来に犯す殺人の罪で自分が逮捕される! と言う訳でそこからがヒッチコック。脱兎のごとく一目散に逃げ出すのだ。
今まで未来の犯罪を犯す犯人たちを捕まえて来たクセに、自分の身に降りかかかってみるとやっぱり理不尽なのだ。
理不尽に犯罪者扱いされて、その汚名を挽回する為にひとり孤独に逃げ回ると言う辺りがヒッチコックなんだけど、そこで舞台となる未来の都市の描写が面白い。
なんだけど後半に至るにつれて段々つまらなくなる展開が惜しい! と言うか安直で陳腐なんだよなぁ……残念っ!
せっかくのとっかかりの面白い設定が全然活かされていない。公開前の宣伝文句とかはとっても面白そうに感じたのに。
もっと人間性とか人間の中のほんの少数派(マイノリティ)の存在価値だとか、そういった命題に展開して行くのかと思いきや、何だか陳腐な刑事ドラマみたく最後に思わぬ黒幕が判明して……みたいな結末に落ち着いてしまうんだよねぇ。
ちょっと察しの良い人ならもう途中で展開が分かっちゃって興醒めするんじゃないかな。オレなんかもうあの大物俳優が出て来ただけで大よそ読めちゃったもんねぇ。
こんな大物がこんなチョイ役で終わるわけねえもんなぁ……って。ヒントはメリー神父(笑)ネタバレ御免。