「ノーマ・レイ」
所謂 "社会派映画" って言うとやはり日本の熊井啓や山本薩夫・小林正樹監督が浮か
びますけど、こ〜のマーティン・リット監督のハリウッド作品は普段政治や労働者の人権なんてこと
に全く興味が無い人でも、見れば何がしかの気持ちを喚起されてしまう感動がありましたねぇ。
子供を抱えて紡績工場で働くサリー・フィールド! は経営者による労働者の搾取と戦う為にやって
来たインテリ男に影響され、自分で今まで思いも付かなかった「労働者としての権利の主張」に目覚
め、立ち上がる。
だけど、そんな彼女に波風を立たせて欲しくない周りの同僚や友達までもが彼女を敬遠し始め、や
がて孤立してしまう。
それでもメゲズに頑張り抜いた彼女が最後に手にしたものは……。政治的な主張が先に立った作品
なんて十中八九は詰まらない物だと思っているんだけど、コレは素晴らしかったですねぇ。
きっとテーマとか主張とかってことよりも主人公の人間性がキチンと描かれていたからなんでしょうね。
無学で、田舎で貧乏に暮らす無名の主婦が自分の権利に目覚め、社会を相手に立ち向かって行く
姿に感動を覚えましたね。昔クロサワの「わが青春に悔いなし」の原節子じゃないけど、こ〜の健気に、
でも逞しく戦ってくサリー・フィールドのなんとステキだったことよ!