「の・ようなもの のようなもの」

 61歳で逝去してしまったかの森田芳光監督デビュー作の、35年振りの続編ですって!

 森田監督と言えば、出始めの頃「家族ゲーム」や「ときめきに死す」が鮮烈で、映画好きの友達には神様の様に崇めている人もいました。

 オレも8ミリで自主映画を作っていた頃、森田監督と言えばぴあのフィルムフェスティバルで凄い評判だった「ライブイン茅ヶ崎」という85分の8ミリ映画を観ましたけど、こ〜れが音声悪くセリフは聞き取れないし、映像も素人なクオリティなのに、全く新鮮で見てて飽きない!
 
 映画ってシナリオとか演技とかじゃなく、感性だけでも作れる物なんだと驚いたのを覚えています。

 この前作「の・ようなもの」は森田監督が自宅を抵当に入れて資金を作って撮ったそうだけれど、終盤落語家の主人公が夜明けの街をブツブツ語りながら延々と歩いて帰ってくる描写が鮮烈で忘れられない。

 本作は前作の設定をそのままに35年後ということで展開していくのだけれど、興味は物語の続編というよりはあの森田タッチをどんな風に踏襲するのか? と観ていたのだけれど、それはあんましアレでした。ソレを感じたのは冒頭の公園のベンチの長回しだけ。

 役者陣はお師匠役で久々の尾藤イサオさんの上手いことよ! エンディングの唄も凄いですね。あと北川景子さん。初めて可愛いと思いました(失礼)美人が取り澄ましてても何も面白くない。綺麗な顔して蓮っ葉な方がず〜と魅力的だと思いました。

 それにしても森田監督、まだまだこれから沢山映画を作りたかったでしょうね。きっとこの作品も見たかっただろうなと思いました。

   合掌。


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