「オデッセイ」

 リドリー・スコット監督「プロメテウス」が極めて作家性の強い? 言わば珍作系だったのに対して今回はバリバリの正統派ハリウッド娯楽大作! 楽しみにして行きました。

 なにしろ懐かしい60〜70年代SFを思わせる状況設定がワクワクだ! オレ等の世代にとって「アポロ13」はまだ最近な感じ、やっぱし「宇宙からの脱出」や「サイレントランニング」が思い出される。

 でも画像があまりにもクリアなのと、ハイテクのお陰ですぐ地球と普通に交信出来たりで、昔の映画の様な爆発的な孤独感が薄れてしまったと思った。

 そりゃ宇宙行ったことはないけれど、段々宇宙が身近になっていく分ロマンも薄れていくのかもしれませんね。飛行機で旅行するとあんまし遠くに来た気がしない様な感覚かな。

 冒頭火星で作業中に突然きた嵐の中を宇宙服で歩く光景は「エイリアン」を思い出すけれど、アッチのがず〜っと宇宙の奥深さが感じられて怖かったですよね。

 でもコレ、エンタメとしてそ〜と〜面白かったですよ。お客さんを満足させようという趣旨に貫かれていて、コレぞエンタメという作品でした。そりゃま近作に「ゼログラビティ」とかあるし、そんなに新味はないけれど。

 デイモン君がパソコンに日記を残す為に独り言を喋ることで、状況を分かり易く観客に説明したり、観客が楽しむ為の趣向に徹していました。

 後半唐突に中国の宇宙開発者が出てきて協力を申し出るというのもなんだか……と思たけど。冒頭でデイモン君を置き去りにしてしまった宇宙船が引き返して助けるという展開や、ラストは船長自ら船外へ飛び出してデイモン君を助けるというクライマックスは、フィクションの面白さに溢れていました。

 他の監督なら勿体ぶって感動のシーンですよ〜と盛り上げがちなところを割とサラッと流すところがカッコ良かった。

 何よりラスト、遂に船長とデイモン君が手を繋いだ時のセリフが絶品でしたね。


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