「Oh! Peach!!」
アーバンフォレスト第9回(2003年7月11日新宿スペース107)
前回の公演で主宰で作・演出の穴吹一郎さんが今後は作・演出に専念するために役者を引退するとの発表が
あった次の作品。役者穴吹さんの抜けた穴を補充する為なのか他所の芸達者な役者さんたちが何人か参加しての
芝居。でもどうだったんでしょう?・・・・・前回までと同じ雰囲気で同じノリの芝居でただ穴吹さんが出てい
ないと言う感じ。作家の心理で言うと自分が出るつもりで書くのと、そうでないのとではおのずとタッチが変わ
ってくるんじゃないかと思うんだけれど、今回それはあまり感じなかったなぁ。でも表面上は分からなくっても
絶対にどこか変わっているハズなんだけどね・・演出も自分が出ながら演出するのと、演出に徹して常に役者の
演技を注視して稽古して行くのとでは作品の緊張感も違うと思うのだけど、前回までと比べてそれ程演出の睨み
が効いているとも感じなかったなぁ・・・正直途中間延びして長く感じて寝てしまった・・・物語はアーバンフ
ォレスト近作のパターンと同じ、本筋の展開を観客に隠した奇抜なシチュエーションで始まり、途中ギャグやボ
ケを挟みながら序所に本筋が明らかにされて行く謎解きの様な展開があって、面白くなって来たところで全てを
覆すオチャラケで大団円? を迎えると言うお決まりのパターン。ただ、端的に言えば穴吹さんが(実はチョロ
チョロその他大勢的なところで出て来たり、前フリの掛け合いや幕間にギャグを言いに出て来たりしているのだ
が)本筋に絡んだ役で出ていないと言うこと。話がダレるのは作劇の時点で自分の役を意識していないと言うこ
とで、何かが変わってしまっているからだと思う。んでオレ思ったんだけど、自分が出ない代わりに他所から新
しく芸達者な人を呼んでくるのでなく、前から一緒にやっているタクちゃんや大友恵理ちゃんを主要キャラとし
てもっと膨らませて書いても良かったんじゃないかな?・・勝手なことを言わせて貰ってるけど、今回の二人の
出番も前回までとウェイトは同じくらいで、それでか役者穴吹さんの抜けた寂しさだけが際立ってしまった気が
する。実際今回一番楽しかったのは冒頭の大友恵理ちゃんとふたりの掛け合いシークエンスだったよ。確かに作
・演出が役者を兼ねているのといないのとでは純粋に作品の完成度と言う面から見れば、作・演出は役者として
は出演しない方がより行き届いた演出になるのは勿論だけど、だからって必ずしもお客の楽しむ出来になるとは
限らないと思う。やっぱ穴吹さんも本筋に絡む役柄でしっかり出演した方が良いんじゃないかな?・・・