「お葬式」
かの伊丹十三監督の第一作! その年の日本アカデミー賞を総
舐めにし、映画館は一気に満員御礼でした。
その後伊丹監督は奥さん宮本信子を主演に快作「マルサの女」〜「ミンボー
の女」と次々に話題作を発表して行く。
しかしてこの作品。言ってみれば父親の急死〜お葬式までの一連の体験を
写実的(映画だから当たり前か)にスケッチして行っただけの様な内容なんだ
けど、ラストに菅井きんさんが故人の思い出について皆に淡々と語る場面には
しみじみとした感動がありました。
今思えば小津安二郎に近いのかな。
にしても本作のレビューを観ると、本当みなさん山崎努と葬式に押しかけて
きた愛人との「青姦シーン」が鮮烈に印象に残ったと書いてますね(笑)。
伊丹監督ってその後の「タンポポ」から「静かな生活」に至るまでそうだけど
「何でこんなシーンが必要なのか?」ってオゲレツ描写は止められなかったん
でしょうね。
っていうか、まるでソレを入れないと「他に俺らしさを表現することが出来
ない」と思ってたんでしょうか。
いずれにしても、本作はお葬式の映画なのに、葬儀屋に扮した江戸屋猫八さ
んの怪しさだとか、随所に「プッ」と笑ってしまう描写が散りばめられていて、
楽しくてしみじみとした作品でした。
今でいう「ユルコメ」の先駆的な作品だったのかな。
確か映画館で「指定席」を買ってみた初めての映画でした。それとも「E.T」
の方が先だったかな。