「桜桃の味」
イランの巨匠アッバス・キアロスタミ監督作品。いや〜まったりしてます!
こ〜の監督作はどちらかと言うとアンゲロプロスかタルコフスキー系? なゆったり感満載のタッチなの
ですが、この監督の醸し出す空気感はオレ結構好きで、タルコフスキーみたく何度観ても途中で眠って
しまう様なことはありませんでした。
冒頭からの不思議感と言うか、サスペンスなんでしょう「コイツは一体何を考えてるんだろう……」って
気になって想像させて引き付けるモノがあるから退屈しないんでしょう。
だって内容が自殺願望の男が、一人で死ねないから協力してくれる人を募って、やり方を説明したり
現地で打ち合わせしたり……を長回しで延々と綴って行くんですよ。
曲りくねった尾根の上の道を自動車でクネクネ走って行く様を何度も俯瞰で見せるのだけれど、それ
は何か象徴的で感ずるところアリで退屈せずに見れました。
最近のカット割の激しい映画に慣れてる人にゃ退屈かもしれませんけれど。
まぁ生きてることって時にとてつもなく詰まらなく思えたり、また大変な問題とか抱えて死にたくなった
りってことはままありますやね。
生きてる喜びってのは確かにふとした何でも無いことに宿っていて、何かのきっかけでそれに気付け
さえすれば死にたい気持ちなんて吹っ飛んでしまうってこともあるでしょうね。
だ〜けどもう本当に重大な現実問題とかに押し潰されそうな人とかは、こんなに容易に吹っ切れる物
でも無い様な気もするけれど。
でもこの映画、金も全然掛かってないけれど、ちょっとユニークでゆったりしたタッチといい、結構好き
です。