「パラノーマル・アクティビティ」

 制作費139万円で世界に配給され、何億円も稼いだという夢のある自主 制作? 作品。

 やっぱし何年か前にあった 「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」 思い出しますけど、低予 算で面白い物を作ろうとするとホラー系ってやり易いんですかね。
 ホラーってひとつには 「何か出るかもしれない」 「今にも何か出そうだ」 と予感させ る恐怖が持ち味であって、本当にオバケを出そうとすると特殊メイクやらCGでお金が 掛かってしまうけど、「ブレアウィッチ…」 みたく最期までオバケが出そうで出なければ ……こりゃ安く上がりますやねぇ。

 それこそ "YOUTUBE" の心霊ネタみたいな定点カメラと時々起こるラップ音だけで よく1時間半も引っ張ったなぁとは思うけど、それ以上話が膨らまないんだもんなぁ……。
 そりゃ眠くもなりますよーオイラも途中で何度もウツラウツラしちゃって、危うく寝そうな ところで 「何日目」 って例の寝室の定点カメラの映像が出るので 「オッ、来たかな」 と 目が覚める、の繰り返しでした(笑)。

 オレがあんな怖い家にいたら寝る時ゃ家中の電気点けて寝るし、なんでドア開けっ放 しなんだよ(笑)と思うけど 「ドアの外の暗がりが気になってしょうがないだろう」 と観客 の心理を上手く突いていますね。

 でもこういうビデオカメラの画像を使った恐怖演出って編み出したのは日本ですよねぇ、 「リング」 や 「呪怨」 のオバケが出る前の恐怖感だけを膨らませた様な感じで、それ はそれでホラー映画の醍醐味だし、楽しいのだけれど、言わば前戯だけで期待させと いてオバケが出ない、だけに喰い足りなさは残りますね。
「呪怨」 なんて前戯の後でいろんなオバケ大判振る舞いの大サービスだったでしょ。

 コレは今にもオバケが出そう〜という予感が膨らむ前戯の部分だけで最期まで引っ 張ってしまい、焦らしだけで見せ切ってしまおうという作品でした。
 最期にちょこっとお姉さんが怖い顔になってましたけれど、アレは怖がりな人の後ろか らそーっと近付いて肩叩いて 「わっ!」 てな感じでしたもんね(んでも結構ビビッたけど)。

 あと怪奇現象が起きる前にラジオのノイズみたいなザザーという音が鳴り出すのは リアルだと思いましたよ。
 オレ昔寝ててよく金縛りになることがあって、その時いつも耳元でこのザザーという音 が鳴り出して 「あ、くるな…」 と思ってましたから。

 あとあんな怖い思いをしていながら引っ越さない理由ってのが 「家ではなくて人間に 憑いてるから」 というのもちょっと便宜的な気はしましたね。だって取り合えずあの家 気持ち悪いっしょ。監督の自宅だそうですが(笑)。

 怪奇現象の理由についてはちょっと登場した無責任な霊能者が 「コレは霊ではなく 悪魔の仕業で、私の専門じゃないので知らないよ」 と帰ってしまうのだけれど、日本人 には悪魔より人の霊の方が恐いですよねぇ。
 悪魔というと 「デビルマン」 や 「悪魔くん」 とかファンタジックなイメージがありますよ ねぇ。 「エクソシスト」 は怖かったけど。

 ともあれこぉ〜れはこんな自主映画モドキを配給網に乗せて世界でヒットさせてしま うというアメリカの映画界が凄いと思いましたよ。
 ヒットしたのはあの映画館の中で観客がビビリまくってる予告の成果ですよね。でも あの人たちってビクッとし過ぎでしょう! きっと気の弱い人だけ集めて見せたんじゃな いかな、それも含めて宣伝部の勝利やな。

 まぁ何十億円も掛けて作られた映画と同じ料金払って観ることにちょっと理不尽な感 じがしなくもないけれど、ホントは自主映画の上映会か何かで見つけて狂喜する様な作 品ですやね。
 スピルバーグが見て余りの素晴らしさにリメイクする意味が無いと言ったらしいけど、 リメイクしてもこれ以上膨らませ様がない……ということなんじゃないのかな。

 いろいろ書いたけど創意と工夫があってとても楽しみましたよー。日本でもそろそろこ ういうのが出て来ても良いのではないかと思いますね。



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