「ピンクの象と五人の紳士」

SSTプロデュース第3回公演(2005年3月23日新宿サニーサイドシアター)

前身「夢彦プロジェクト」のSSTさんは旗揚げのつかこうへい、前回のイヨネスコに続いて今回別役実と言う、 実にいろんなタイプ、全くテイストの違う脚本を選びながら、それぞれの面白さを十二分に舞台に再現すると言う 小さいけど凄い劇団。それはおそらく演出の坂田俊二さんを始め少人数ながら長年一緒にやってこられた役者さんたち の実力のたまものなのでしょう。特にイヨネスコや別役の不条理劇は本を読んだだけでは「どこが面白いの?」と 頭を捻ってしまうばかりだし、例え上演されたとしてもヘタな役者や演出ではさっぱりその魅力は伝わって来ない。 それどころかヘタな公演を観たのでは「やっぱり不条理劇は詰まらない」と言うレッテルを貼ってしまい、自分的に 生涯封印を押してしまいかねない。オレはSSTさんの公演を見せて貰って初めてイヨネスコや別役の本当の楽しみ 方を分かった 気がしますね。これまでも何度かイヨネスコや別役の本や公演に接する機会はあったのだけれど、その時は楽しむと言う よりは拒絶な印象ばかりであった。読んでも良く分からないこうした不条理劇のテイストの面白さをしっかり汲んで 舞台上で花咲かせると言う感覚はやはり演出家の尋常なセンスでは成り立たないモノなのでしょう。もちろん役者 は全てハイレベルな技術を要求されるけれど、アマチュアではなかなかその粋に達したモノに出会えないのかも しれませんね。前述の通りSSTさんに所属する役者さんは少ないので、今回は他の団体に所属するいずれも芸 達者な役者さんたちがたくさん客演していましたが、カーテンコールの紹介を聞くと誰もが他団体の主催であったり 作劇・演出をしてる様な人たちで実力派揃いなのにも感心しました。 SSTさんの公演を見て始めて不条理劇の面白さが分かりました。かと言って「どう面白いの?」 って聞かれても上手く言葉では表現できないんだけどね。



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