「ランボー 怒りの脱出」 (85米)

 1作目で町を相手にたった一人で戦争を巻き起こし、その罪で服役中のランボーに「罪を許してやるかわりに今もベトナムに捕虜として捕まっているアメリカ兵を救出してこい」と言う命令が下される。
 で単身ベトナムに乗り込んだランボーの大活躍!

 ここでのランボーはもはや1作目の本当は普通の男であると言うリアリティは消し飛び、アメリカ人好みの絶対死なないスーパー大活躍!
 どんな凄い拷問にあっても、どんな凄い攻撃を受けても、ソ連のヘリコプターに撃墜されても、これでもか、これでもかと絶対に死なないどころか死んだフリまでするランボーに「いい加減にしろ!」と突っ込みを入れたくなる。

 それでもこのスケールアップした第二作の戦闘シーンはアメリカ軍やCIAが協力して実戦を想定して考案されたのだとか……実際の戦闘ってみんなこんな都合良く行くのかよ!
 って言うかこの戦闘シーンはみんな「こうなったら良いのになぁ」と言う軍人たちの理想の形なのかなぁ。素人目に見てもあり得ない気がするのだけれど。

 1作目の悲壮感と違って、ここでのランボーはターザン等に代表されるアメリカンヒーローそのもので、それに対する悪の対象も設定されており、ラストにカタルシスもある徹底した娯楽仕立てだ。

 1作目の原作権はスタローンが高額で買い落としたらしいけど、この2作目はスタローンがかのジェームス・キャメロンと好き放題に書いた様な感じですね。

 まぁ見世物としてはハデだし笑えるし、見る価値はアリだと思いますけど……。

 ただ最後のセリフ、ランボーが心を開けるたったひとりの上司(リチャード・クレンナ)に「国を恨むか?」と問われ「報いられると信じて戦ったのだから恨みません」と言い「これからどうする?」との問いにはただ「日々を生きます」と応えたのには何か凄く胸を打たれた覚えがある。

 1作目の「ランボー」にはまだスタローンに見所のある演技がいっぱいあった、特にラスト、上司に戦場でのことを泣き語るところとか、でもこの2作目以降、娯楽エンターテインメントに走るにつけて、次第に筋肉バカな印象を強めて行った感がある。
 それはロッキーシリーズでも言えることだったと思うけど。



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