「理由なき反抗」

 ジェームス・ディーンの中ではコレが一番好き。

 子供の頃から何度もテレビでやってて見てたけど、何度目かに高校生の頃見た時、ジミーの気持ちと 自分のそれとがピタッとピントが合った事があって、その時はえらく興奮して見た記憶がある。

 作品の前半部分、大人たちが何故ジミーが反抗してるのか分からなくって、その分かってもらえない ことにイラ立ってまた反抗するジミー……反抗する理由はあるんだよねぇ、ただそれを大人たちが分か らないだけで、今見るとこの父親の情けなさには笑ってしまうけど、当時は凄くジミーに共感して見た 記憶があるなぁ……ってオレの親父がそんな情けないワケじゃないんだけど(笑)。

 ジミーの魅力はやはりあの卓越した演技力にあるんだろうね、ただ単にイケメンと言うのでなく、か のアクターズ・スタジオでつちかった「本当の気持ちの演技」酔っ払って捕まって警察署で泣いている ところなんか凄い鮮烈だったよなぁ。

 それにあの皮ジャンにナイフで不良とやり合う場面のなんと言うカッコ良さ! アメリカン不良スタ イルはこれで決定的になったね、そして有名なチキン・レース!
 この映画で「チキン」って言葉が意気地のないヤツをバカにした表現だってことがインプットされた。 「バックトゥ・ザ・フューチャー」でマイケル・J・フォックスがチキンと言われると急に怒るのはこ こから来てるんだよな。

 大人になってから見るとまた感じ方が変わって来て、かつて退屈だと思っていた後半部の意味が分か って来る。
 前半部で親に理解して貰えず苦悩してたジミーが今度はナタリー・ウッドと夫婦的な間柄になって、 弱虫の年下の少年が二人の子供的な立場の関係になる、そして……。

 結局理解しあえない世代間の断絶なのか、人間の悲劇? ジミーの映画って「エデンの東」にしろ 「ジャイアンツ」にしろ単純に「こういう映画だ」とひとことで言えないんだけど魅力的なんだよな、 それだけ深いんでしょうねぇ。
 そしてまぎれもなく輝いているジミー、つかみきれないから飽きられもしない、理屈じゃないんだ よな。



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