「ロッキー１〜５」
「１」と「２」は映画が一番面白かった６０〜７０年代最後の方の実に名作、特にジョン・Ｇ・
アビルドセンの「１」は本当に胸が熱くなって来て、ふと思ったんだけど、あのラストの激闘は
「蒲田行進曲」のヤスに通ずるものがあるなぁ……やっぱ顔中ボコボコやし……熱くなったよね
ぇ。
人間が形振り構わず一生懸命な姿って理屈抜きに胸を打つんでしょうね。これですっかり映画
の作り方や見せ方を身に付けたスタローンは「２」からは自ら監督になってもう彼特有の男の汗
のケレンミを見事に発揮していきますね。
今回はシリーズ５部作連続放映と言うことなので、少々突っ込みを交えて追って行きましょう。
第一作のラスト、リング上で激闘を終えたロッキーと宿敵アポロは「もう二度とやらないぜ」
「俺もごめんだ」と言っときながら、パート２では両者試合直後に車椅子に乗ったままモーレツ
に罵りあいから始まって再戦やる気まんまんの出だし！
んでまぁ読めますはねぇ、ああ……今回は勝つのだなと（笑）そんなこと分かっててもその勝
つまでの過程が熱いんですよ！ 確か奥さんになったタリア・シャイア（エイドリア〜ン）が病
気になって入院して、ベッドで徹夜で看病したロッキーが目覚めた妻に「試合に勝って」と言わ
れて次のカットで逆光の中片手腕立て伏せを始め、チャンチャーチャカチャーチャカ……って音
楽の始まるシーンが当時燃え燃えでした。
今観たらきっと笑うのかなぁ……でも思い出しても一番感激したのはパート２でしたね、何せ
第一作で負けたのが最後勝つんですから！
「勝つこと」それが以降のロッキーシリーズになって行ったんですね。ん〜で「３」ではすでに
大スターになったロッキーはコマーシャルとかプロレスラーとの八百長試合（実はアントニオ猪
木にオファーがあったらしい）でハルクホーガンと闘ったりしながら（撮影時にスタローンはホ
ーガンに投げ飛ばされて何度も失神したらしい）チヤホヤされてお金持ちになって、次第に第一
作の頃のハングリー精神を失って行く。宿敵だったアポロも親友になって呑気に昔の試合のビデ
オ観てたりする……がそこへ黒人でモヒカン刈りの凄い憎憎しい敵（特攻野朗Ａチームのミスタ
ー・Ｔ！）が現れてハングリー丸出しにロッキーを挑発し始める。
もう成功したしやる気ナシでフニャチン状態のロッキーにアポロが呆れ「もう一度昔の様なハ
ングリー精神を取り戻すのだぁ、虎の目を取り戻せ！」とばかりに檄を飛ばし、ロッキーをトレ
ーニングし直す。
だからこのパート３には「アイ・オブ・ザ・タイガー」と言う副題が付いている。このパート
３の展開はそんなに手に汗握ったり感激したりは無かったけれど、ロッキーとアポロの友情もカ
ッコ良く、面白い展開でした。
そしてパート４ではペレストロイカ直前のソ連の代表選手としてドルフ・ラングレン扮する「
ドラコ」がソ連の近代兵器の様にメカニックに鍛え上げられた最強の敵として登場！
対するロッキーは雪山の中を走り回ったり、大木を担いでみたり、極めてアナログなトレーニ
ングで対抗する。ロッキーの星条旗模様のグローブとドラコのソ連の旗印が付いたグローブが双
方から近付いて爆発するオープニングはもう怪獣映画みたいでしたね、いや〜燃えた（笑）
ん〜でもモスクワに乗り込んで見事ドラコを倒したロッキーにゴルバチョフが思わず立ち上がっ
て拍手した時にゃさすがに「いい加減にしろ」と言いたくなりましたけど（笑）
楽しかった〜。ビル・コンティに代わってシリーズ中唯一担当したヴィンス・ディコーラの音楽
も良かったですよねぇ。高田延彦が現役の頃リングテーマにしてましたし、最近ではテーマソング
のバーニング・ハートが亀田兄弟の兄貴のテーマになってますね。
ん〜でパート５ですよ……全然印象に残ってない……と言うより詐欺でしたよね？ だってパー
ト５って知ってます？ 試合が無いんですよ！ 試合シーンが無いロッキーなんてあり得ます？
だってクライマックスでロッキーが試合するのはお約束でしょ？ リングに上がらないロッキー
なんて、マドンナに恋しない寅さんみたいじゃないですか。
だ〜から最近カムバックした「ロッキーファイナル」でまた老体に鞭打ってリングに上がっちゃ
うんですかね、とにかくパート５を観た時ゃもう……ワクワクしながらいつ試合が始まるのかいつ
試合が始まるのか……と引っぱられて観ていたら路上でケンカするだけで映画終わっちゃうんです
からね！
アレは酷かったよなぁ〜……当時宣伝部もクライマックスの試合がないんじゃ客入らないと思っ
たんだろなぁ……宣伝では試合がないなんてどこにも書いてなかったもんなあ……。
それと「ファイナル」を前に気になってるのはロッキーの息子のことですね「５」でもそうだっ
たけど「ファイナル」でも息子との絡みが主要なテーマになってるらしいじゃないですか？
そもそも「４」でモスクワで試合した時テレビで応援してた息子は小学生くらいだったのに「５」
で飛行機乗って帰って来たらもう高校生くらいになってましたよねぇ。
何かもうシリーズとしての話の整合性を放棄しちゃってる時点でもう「仁義無き戦い」か「宇宙
戦艦ヤマト」かって感じでしたけど、さてさて今回はどうなるのか……いや、分かってるんですよ、
観たらどうせ「ありゃりゃ……」なんでしょ、分かってるんですよ、スタローンだって他に仕事が
無いからまたロッキーやるしかないんでしょ、分かってるんですよ、でもねーきっとまた観に行っ
ちゃうんスよねぇ、ずるいっスよ（笑）