「ルーム」

女優さんがアカデミー主演女優賞を取った話題作。
 どんなかと思ったら〜何故か小さな密室で幼い息子と二人暮しの若いお母さん。息子は5歳くらい。何の説明も無く部屋の中から一歩も外へ出ない二人の暮らしぶりが描写され……。

 たまに謎のオッサンが来て食料等を持って来るらしい「仕事が無くなった」とお母さんにボヤき、気に入らないことを言われると「誰の為に働いてると思ってんだ!」と凄む。その間ボウヤはず〜と狭いクローゼットに隠れてる……どういうこっちゃ?

 はっは〜どうやらこの母子はこの男に監禁されてるらしい……と解かって来る。そして恐ろしい事実、このお母さんはボウヤが産まれる前からこのルームに監禁されており、ボウヤはここで生まれた。だから生まれてから5歳になる今までボウヤは一度もこの部屋から出たことが無いのだ……。

 コワイですねぇ。遂に脱出し、初めて空を見て、陽の光を浴びた感動……てのが前半の趣向。

 し〜かしコレは前に第二次大戦中にナチスから逃れる為に地下に隠れて暮らす人々の「アンダーグラウンド」というのがありましたね、アレはもっと、確か10年以上地下で育った少年が初めて地上へ出た時の、キラキラ光る湖か何かを泳ぐところが実に感動的で、アレのが凄かったかな。

 し〜かしこの映画は中盤で母子は助かっちゃって、後の展開どうすんのかな……と思っていたら、長年の監禁生活の心的ダメージから立ち直る為の過程が描かれる。

 ふ〜んなんだか「ルーム」って主題から逸れちゃったな……と思っていたら、終盤に来て心の傷を克服する為に、なんと二人でもう一度監禁されていた部屋を見に行くのだ!
 
 ほほ〜そう来たか、と思いました。そ〜して坊やが5歳になるまでを過ごした部屋を見て「こんなに小っちゃかったんだね」としみじみと語る……。

 思い出しましたね。以前10年以上を過ごしたアパートの部屋を引っ越す時、荷物を運び出してガランとした部屋を去る時のあの言い知れぬ感慨……それは引越しを経験した人なら誰しもあるであろう原体験ですよね、そこで過ごした年月が、自分の人生に対する愛おしさの様に込み上げてきて……。

 おお〜ここへ持ってきたのか、と思いました。まさしくコレは「ルーム」じゃん。って。



リストに戻る