「サトラレ」
ちょっと変わった企画モノでなかなか面白い。「サトラレ」とは何かと言うと、考えてることや思ってることが
音声として周りの人間に聞こえてしまうと言う特種能力を持った人間のことで、世界中に何人もの症例があり、その「サ
トラレ」の人間としての能力がズバ抜けている為に政府は国を挙げて彼等を保護しようとしている。だがその為には「サ
トラレ本人」が自分がサトラレであると言うことを自覚しない様にしなければならない! と言う大変なミッションが
課せられるのだ。
確かに自分の思ってることが回りに筒抜けになってしまうなんてことが分かったら人間誰とも接触出来なく
なってしまうよなぁ。劇中自分がサトラレであると知ってしまった男が無人島に引き篭もっている件は
さもありなんと頷ける。本編は優しい心を持った医者を目指す主人公のサトラレと、彼を取り巻く「彼にサトラレ
だと気付かせてはならない」と奮闘する人々の可笑しくも暖かい物語。
サトラレの上司の医師役の寺尾聡が優しくて重々しくてさすが存在感ありますね。その中で特に政府から任務
を帯びて派遣されて来る鈴木京香さんとの交流が主軸になって話が進むのだけれど、ラストはサトラレが病気に
倒れた自分を育ててくれた心優しいお婆ちゃん(八千草薫!)の命を救う為の手術の件になるんだけれど、ここは
泣かせますねぇ。
ここでサトラレがお婆ちゃんに呼びかける心の声が
ちょっとくどいなぁと思ったけど、人間の思いって生きてるうちはずっと継続するものだから、もしサトラレが本当に
いたら実際こんななんでしょうねぇ。周囲の人には常にサトラレの声が聞こえ続
けている訳で、ホントにこうだったらかなり煩いだろうなぁ……と思うよねぇ。見る者にそこまで感じさせてしまうくらいに
よく考えて作られてる映画だなぁと思いました。