「さようならファーストエイジ」

Sky Theater PROJECT(2003年4月24日中野ザ・ポケット)

近未来、人間の寿命は延びて200年以上になったが、一方でカルマと言う名のウィルスが蔓延し、それ 以降に生まれた人間は全て30年くらいしか生きられなくなってしまう。その世界でまだウィルスに感染して いなかった世代(ファーストエイジ)最後の一人となった老婆とそれを取り巻く孫や親族の物語。主人公のキ ザシはその老婆リカの孫で夏休みにリカの家で過ごすことになった。そこには遠縁の従兄弟やその友達等がい てイロイロな騒動が起こって行く。人間の寿命が短いので、何かを研究する為だけに育てられた子供やひたす ら精神年齢だけを高めたクールな人間等もいる。キザシの従兄弟などはカルマの研究の為だけに教育されたた めに、他のことに関しては非常にワガママだったり常識がなかったりする。今の大統領も若いギャルみたいな 女の子なのだ。特異な設定でどう持って行くのかな? と興味をそそられたが、前半からのいろんなエピソー ドは何を言わんとするのか掴めずやや退屈した。ひとりだけ長生きして自分の子供たち等が次々先に死んで行 くのを見守って来たリカ。その存在感はひたすらハードボイルドの様にドライに描かれていたのが後半裏返っ て来て、キザシの父が死ぬに当たってやっと本当のテーマが分かって来る。そう言えば途中「銀河鉄道999」 の「機械の身体を手に入れると永遠の命が得られる」が遊び的に出て来ていたのを思い出す。ラストはリカを 演じるいつもこの劇団で存在感ある芝居をしているたきざわちえ象さんの存在がグッと生きて来て心に響くモ ノがあった。この芝居はちえ象さんの存在感で持ったと思う。以前に好評だった作品の再演と言うことですが、 オレ的にはもすこしこの面白い設定を活かし切れてなかったかなぁ・・寿命が30年ってことで専門職の為に 生まれてすぐそのことだけを勉強させられるとか、面白そうな要素がたくさんあっただけにちょっと掘り下げ 方が浅いかな・・とか思った。でも最後はホロリとさせて結構良かったですよ。



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