「戦場のピアニスト」
これこそが映画だぁ〜って映画にまた出会えた。これがあるからやっぱり映画って良いな
って思う……筋だけ聞くとベタな話をこれだけ心に響かせてくれたロマン・ポランスキーに拍手
喝采!
ナチスのゲットーから脱出した人が今も生きてこんな映画を作るなんて……そのことも胸
に迫る。「シンドラーのリスト」「愛する者の名において」「炎628」「ライフ・イズ・ビュー
ティフル」……ああまたアウシュビッツ物か……と思ってたら、この映画では主人公だけが列車に乗
せられた家族とは別行動、そして孤独の逃避行のディティールがリアルに延々と続く……。
彼は憔悴
し、飢えて、ただ生きたいという本能で逃げることだけ、髭を伸ばし、ボロボロの姿になって、何か食べ物を!
もう離れ離れになった親兄弟のことも、自分がかつてピアニストであったことも忘れて(観客も)
そしてついにナチスの将校に発見され「お前の仕事は何だ!」と聞かれてボソっと「ピアニストです……」
と答えた時の言い知れぬ感動。名作は多くを語らず! 将校の前で弾き狂うピアノ……。
当時同じくらいの大作でアカデミー賞に並んでノミネートされた「ギャング・オブ……」を撮ったマーチン・
スコセッシはニューヨークと言う街にずっと思い入れがあってあの映画を作ったらしいけれど、この雲泥
の差はなんなんだろう、と思ってしまった……。