「戦場にかける橋」
第二次世界大戦中に日本軍の捕虜となったイギリス軍の指揮官(かのベン・ケノービ=
アレック・ギネス!)が日本軍に自分の部下たちを指揮してクワイ河を跨ぐ鉄道の橋を作
れと命じられる。
最初は協定違反だと反発する彼だったが、日本側に捕虜としての権利を保障させる代わ
りに橋の建設に部下たちと協力することを決意する。
まず河の地形を調べ、設計図を作り、今度は捕虜の務めとして、イギリス軍人としての
誇りをかけて日本軍の為に立派な橋を完成させる。
そう、それは彼にとって敵とか味方とかを抜きにした人間としての誇り、アイデンティ
ティの表出ですらあったのだ。
がその橋は、捕虜になっていない味方たちから見れば敵の建造物でしかない、戦略上
は破壊すべき建造物なのだ。
ちょっとストーリーをダラダラ書き過ぎましたが、この作品はオレが思うに世界の映画
史上ナンバーワンの映画監督、かのデビッド・リーンが「アラビアのロレンス」の前に作
った作品。
勿論戦争批判には違い無いのだけれど、この作品のアプローチは本当に異色で独創的だ!
人間にとって自我の表出とも言える 「物を作ると言うこと」 そして戦争は 「物を壊す
と言うこと」 人としての誇り、軍人として使命を果たすことへの誇り……うう、あんまし
喋っちゃうと初めて観る方の感動を削いでしまいますね(笑)
でもコレは戦勝国である米=英の合作でありながら、子供の頃よくテレビで観ていたア
メリカ軍がドイツ軍をやっつける単純明快な娯楽作品とは全く違う、それだけにキョーレ
ツでした。
特にあのオープニング、日本軍に連れられて来る捕虜の群れが皆口笛を吹いて(クワイ
河マーチ!)皆ボロボロの靴を履いて泥んこ道を行進して来るオープニングはインパクト
ありましたねぇ。
そして日本の映画スターであった早川雪洲の存在感無くしては成立しなかった作品でし
ょう。
今でこそ日本の俳優がハリウッドに進出するのも珍しくありませんが、そのホントの先
駆者だった早川雪洲さんは素晴らしかったですね。
コレぞ生粋の日本国軍人! ってな感じで全く違和感等無かった。またそう言ったキャ
スティングも実現してしまうところがさすがデビッド・リーンだったのかも知れません
ねぇ。