「ブルース・リー 死亡遊戯」

 これはブルース・リーが撮影途中で死んでしまった為に、当時幻の作品として、 スチール写真でしか見ることの出来なかった物を、生前に撮影していた格闘シー ンの前に無理矢理こじつけな別のストーリーを繋げて、それをブルース・リーに 似てる人(ユン・ピョウだったらしい)に主人公が変装する設定にしたり後姿だ けにしたりとごまかして演じさせ、どうにか一本の映画に仕立てたイビツな作品。

 しかし、リーの主演作品はたった4作しかなく、もう新しいリーの作品は絶対 に見られないと思っていたファンにとって、当時コレは全く晴天の霹靂と言うべ き大狂喜であった!

 そ〜して客席で迫り来る興奮のルツボにあってあのオープニングですよ!
 沈黙の中ヌンチャクを振り振りするランニング姿のリー……そしてジャーン!  007シリーズのオープニング担当者によるクリップにジョン・バリーの突撃 な音楽が乗って、あまりのカッコ良さに全身が震え立ったものです。
 まさにリーへのオマージュ、賛歌な作品でした。

 でもそれから延々とニセモノ丸出しな苦しいストーリーが展開して行く。  けど吹き替えのユン・ピョウが頑張ってるのと、かつてのリー作品の敵役だっ たボブ・ウォールが出て来たりして、そんなに退屈もしなかった。

 そしてもう本当にラスト近く、ようやく生前リー自身が監督して撮影していた 問題のアクションシーンが流れ出すとサッと空気が変わる。
 この殺気はどうだ! これから互いに殺しあうと言うのにニコッと微笑んで見 せたり、武器をカンカン鳴らしておどけてみたり……こ〜の観ている方が痺れ上 がる様な緊張感はタダモノではない! 

 リーの映画センスが画面に漲っている。ああ〜もしこの映画がリーの思惑通り に全編完成していたならば、どれだけ凄い作品になっていたことか……って。
 本当思いますよねぇ〜



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