「男はつらいよ・柴又慕情」
吉永さゆりって若い頃は少女漫画の元気なヒロインみたく眩しいばかりでした
けれど、大人の女性になってもいつまでも「永遠の処女?」とか言われてた頃はあまり
好きではありませんでした。
だって余りにもハツラツとしていて何処にも影がありませんものねぇ。映画って光りと影
のコントラストな訳だし、女優さんだって影があるからこそ光るものだと思ってますから。
だ〜けどこの、勿論喜劇な寅さんなんだけれども、こ〜のマドンナとして登場する吉
永小百合=歌子の哀愁はどうですか!
もちろん山田監督の技量ということなのかもしれないけれど、あのハツラツとした吉永
小百合がここでは本当に儚く幸薄そうに見えますからねぇ。
吉永小百合の代表作は? と言われりゃそりゃーやっぱし若い頃の「キューポラの
ある街」や「愛と死をみつめて」等かと思いますけれど、オレ的には文句なしにこ〜の
寅さんシリーズ2本に出演した歌子ですねぇ。
そして同時に忘れてならないのは歌子と仲違いしている父親役の宮口精二御大で
すよ。
こ〜の言葉少なにそこにいるだけで醸し出す黒澤オーラの何と言う存在感! 本シ
リーズにはあと博の父親役の志村喬や後年三船敏郎等も出演しているのだけれど、
やっぱしこの言ってみれば "黒澤俳優" たちの存在感には圧倒されます。