「ソーシャル・ネットワーク」

 近頃映画界では一番の話題作ですね。コレは面白いですよ!

 何がって? なにしろこ〜の主人公! フェイスブックって知らなかったけど、数千億円もの資産を持っているという実在のマーク・ザッカーバーグ! コイツのキャラクターに尽きる!

 ある種の天才なのだろうけど、過剰な自信と、人を見下した様な物言いで結構嫌なヤツ。でも自分を振った彼女を見返してやりたくてネット世界でのし上がって行こうとしたりする可愛いところもあって、共感出来る部分が無くもない。
 誰しも若い頃は自分に自信があり過ぎて人を傷つけちゃったこととか少なからずありましたよねぇ?。

 この主人公の "半共感" 出来るというサジ加減が魅力となって物語にドーンと奥行きを与えている。
 "半共感出来るキャラクター" が作れるというのはクリエイターとして一流なのかもしれません。
 一番思い出したのは当たらずと言えども……な感もあるけど「ゴッドファーザー」でアル・パチーノが演じたマイケル・コルレオーネですねぇ。

 そもそもこの作品、古くからある「スカーフェイス」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」最近ではブラジルの「シティ・オブ・ゴッド」とか、マフィアの世界でのし上がっていく若者たちの愛憎劇を思い出させますけれど、本作の場合主人公たちが何処にでもいる様なインテリ学生であり、マフィアやギャングではなくインターネットという身近な素材世界で描いているところが新しい!

 映画の面白さとはジャンル問わず「ちゃんと人間が描けているか」が評価の分かれ目であると思うけど、本作はその最たるお手本みたいな一級品ですね。
 脚本とキャスティングと演出と、勿論主役を演じた役者も上手かったのでしょう。

 こ〜の主人公を取り巻く人物たちとの葛藤・軋轢も少人数で対立の構図もシンプルで分かり易い。
 そうなんですよ、組織とかチームって、ちょっとした志向の違いがやがて決定的な軋轢になって対立し、分散してしまうんですよね。コレがまた凄くよく分かる。

 ただラストは、それが振り返ってみて物語の転換点だったのかとは分からないくらい面白がって見てたので、唐突に終わってしまった感じだった。

 おお〜面白い面白い物を観ているぞ! もっと観たい! と思ってる時にアレッと終わってしまう。ええ〜〜何でよ、折角楽しんでるのに……と思ったけれど、ストーリーを思い返してみると、ちゃんと起承転結になっていて、本筋の裁判が和解するということできちんと決着が着いているのだ。

 ラスト、示談金を支払うということで裁判が決着した後、一人パソコンで振られた彼女からのメッセージを待っているマークの姿には「ゴッドファーザーU」で自分で奥さんを追い出したのにまだ結婚指輪をはめていたマイケルが重なって見えた。



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