コレはかの有名な映画「12人の怒れる男」の原作舞台劇です。
僕はもともと演劇よりも映画が好きだったので、初めて舞台の台本を書こうと思った時も
思い浮かべたのはこの映画と黒澤明の「天国と地獄」前半の登場人物たちの思惑が入り
乱れる室内シーンでした。
でも「12人の怒れる男」は元々が舞台。前々から舞台版を観る機会が無いかと思ってい
たんです。この劇団は他にもなかなか観ることの出来ないつか作品や別役作品の面白さ
を見事に再現してくれていましたから、演目に取り上げると聞いて楽しみにして行きました。
いや〜いつもながらこの劇団の力量にはやられてしまいます。映画「12人の怒れる男」
は皆さんご存じかと思いますが、完全にヘンリー・フォンダの一人舞台でしたよね、舞台で
も彼の演じた陪審員8号が最初から他の陪審員たちに根気良く疑問を投げかけて行くので
すが、その陪審員8号に終始異論を唱えながら真っ向から対立する陪審員3号の方が舞
台では物語を引っ張っている様な感じでした。
この3号と言うのは自分の父親を刺し殺した罪に問われている被告の少年に、自分に反
抗して家を飛び出して行った息子の姿を重ね合わせてしまい、絶対に有罪であることを譲
れず、やがては激昂した自分の言葉で語るに落ちて行くと言う悲しい中年男なんですが、
舞台では彼が終始圧倒的な存在感を示して作品の主軸を担っている印象でした。
コレは発見でしたね、ってオレが知らなかっただけなんでしょうけど、この役を演じた勝又
保幸さんは本当に素晴らしかった。他の役者さんたちも、あまり見せ場の無かった人も含
めて皆さん個性を発揮して素晴らしかったです。
演出の上山田俊夫さんの力量によるところも大きいのでしょうけれど、本当楽しかったで
す。