「スケアクロウ」
刑務所を出たばかりの男と長い船旅から帰って来たばかりの男と言う孤独な二人が冒頭ひょんなことから知り合って
共に人生をさすらう様な道行を展開して行く。その二人を演じるのが名優ジーン・ハックマンとアル・パチーノ。こ〜
れはこの二人の名演技を味わうのが一番の見所だったと言う印象ですね。
特にアル・パチーノが長年放ったらかしにしてた奥さんと子供から三下り半を突き付けられて噴水の中で半狂乱
になるとことかまさにアクターズ・スタジオの方法論(メソード演技)の実践と言う感じの迫真の演技でしたね。
コレって73年の所謂アメリカン・ニューシネマ作品なんだけど、描かれている登場人物を取り巻く悲惨な現実
とかまるで現代の世相にも当てはまる感じですね。悲惨で、絶望的で、悲しくて切なくて……そうしてみるとアメ
リカン・ニューシネマって何が良いんだろう……とか思ってしまう。苦しい現実の中でもがき苦しむ主人公たち
に感情移入してしまうんですよね。何故かたまらなくイトオシくって、きっと彼等の中に自分の姿を
見つけてしまうからなんでしょうね。