「サマーウォーズ」

 かの大傑作アニメ「時をかける少女」のスタッフが作った新作! 観た人のレビューが かなり熱狂的に迎えられているので、柳の下の二匹目のドジョウかな……ってんで観に行って来 ましたが……。

 今や世界を支配するインターネット内の仮想コミュニティの危機を日本の田舎の懐かしい大家族 たちの奮闘で助けると言う。いや〜創意の楽しさはありますよ。十二分に面白かったとは思うのだ けれど、前作の様な掛け値なしの「ヤッター」感には至らなかった!

 その原因はひとつには観てて途中違和感を覚える箇所が多すぎて話に乗り切れなかったことで すねぇ。
 まず、あの立派? なお祖母ちゃんですけど、全国規模の緊急事態にあちこちの要職者へ電話 掛けまくって激励していましたけど、もし自分が現場にいて仕切っているところへお婆ちゃんから 激励の電話ですって言われても、そんな電話に出てる暇無いんじゃないかと思った。お祖母 ちゃんだけが知っている事態を収拾する方法をに教えてくれるとかって訳じゃないでしょ? 現場で 奮闘してるところに、ただ「頑張って下さいよ」って言われてもねぇ、そんなこと言われなくても頑張 ってる訳だから。

 それと軌道を逸れた人工衛星が原発に向かって落ちてくるとなりゃ、街中大パニックになって普通に そこらを歩いてる人とかいないんじゃないかな。
 
 ラスト世界中のユーザーたちが自分のアバターを使ってくれと集まって来る件は一時的に盛り上 がったけど、前フリが無いので降って湧いた幸運と言う感じ。本筋に絡む感動ではない。最初にドイ ツの少年だっけ? が出て来た時、アレこれって誰だったっけ? って思い出そうとしてしまった。

 確かにあの大家族、大屋敷の夏休みは懐かしい感じがするけれど、家族のキャラクターが整理し 切れていませんね。ヒロインの叔母さんたち姉妹とか、自衛隊や消防隊のお兄ちゃんたちもどれが 誰だか、と言う感じだし、それぞれの行動もストーリーの為に御都合主義なところが多かったですね。

 あと、やっぱり致命的なのは主人公である筈のヒロインが途中蚊帳の外に置かれてしまうのはダメで しょう。主軸は飽くまでヒロインと男の子の関係性で貫かなければ、ラストの感動がその方向で持って行 っているのだから、そこへ盛り上げる為にはずっと主人公と感情を共にしながら進んで行く構成でなけれ ば、それこそ「時をかける…」みたいに。

 まぁねぇ、前作が単館系だったのに対して今回は拡大上映で、オレ観に行った時ゃチケット売り切れで 仕方なく次の回まで待ったんだけど、それでも危うく入れないところだったくらいですから。
 大ヒットしてるし大方のお客さんたちは喜んでる様なので「コレで良いのだ」かもしれないけれど、帰っ て他の方たちのレビューを覗いて見ると、確かに狂喜してる方は多いのだけれど、5人に1人くらいの割 合で、ほぼオレと同じ様な感想を持って「ツマラナイ」とまで言い切ってる方もいらっしゃいますねぇ。

 「感じ方は人それぞれ」と言ってしまえばそれまでだけれど、目が肥え過ぎてるのかな……なぁんて言 ってしまってはおこがましいけどねぇ……。

 でもこう言う事態は映画館でたまにありますよ。昔「ビルマの竪琴」カラー版の時、ラスト映画館の中は 観客たちの咽び泣く鼻を啜る声で満ちていると言うのに、爆笑を堪えるのに何と苦しかったことよ……。
 隣の人はポロポロ泣いてるのに……苦しくて苦しくて、必死で堪えてるオレを苛める様に九官鳥が「ミズシマ、 イッショニニッポン二カエロウ!」って、頼むからやめてくれ〜と言う意味で涙を流していた。

 本作はそこまでとは言いませんけどね(笑)適当に楽しかったし。
 でもコレ観て5人に1人の方に入ってしまった方は、劇場内を観客たちの感動が包んでいる中で鼻白ん で来てしまうのは結構キツイですよ。



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