旗揚げから前二作を観ている女塾さんの第三回公演。旗揚げ作品は戦後の焼け跡で売春して生きる女たちの 逞しさや葛藤を描く暗い辛気臭い女たちの姿だったのに対して、二回目から参加したお笑い劇団アーバンフォレストの 伊丹ドンキー氏による作演出は女塾の辛気臭さにアーバンの根アカアッケラカンなテイストが無理矢理に混在されて ちょっとイビツな印象だった。それを経ての第三弾の今回は伊丹氏の楽しさと女塾の人生物語が上手い具合にブレンド されていて脚本の出来は最高でした。ドラマの中に無理なく楽しい雰囲気が醸し出されていて、アーバンフォレストみ たく全くのオチャラケじゃないし、女塾の辛気臭さも一掃されて観劇後爽やかな印象が残りました。しかし惜しむらく はふたりの友情を描く片方の女優さんが舞台初日の帰りに駅で転倒して大怪我をしてしまい、二日目から急遽キャスト を入れ替えたと言う事情があって、本来その役の年齢からはかなり若すぎる女優さんが代役を務めていたこと。一日 だけで違う役のセリフを覚えて立派に務めた女優さんはよく頑張ったと思うけど、やはり怪我で降板せざるを得なかった 女優さんはさぞ無念だったでしょう。特に今回本が良く出来ていて役者としてはノリノリではなかったかと思える 舞台なだけに気の毒ですね。コレは怪我が完治してから再演する価値が充分にある作品だったと思います。 だけど女塾さんの以降の予告を見ると作演出に伊丹さんの名前が無いのだけれど・・・もしかして本作を最後に伊丹 さんは女塾を離れてしまうのでしょうか。だとしたら残念ですね、今回の作品はアーバンも含めて伊丹作品としては 一番上手かった本だと思うのですが。アーバンも好きだけどアッチはオチャラケの楽しさですからねぇ・・・。