「シャッターアイランド」

 「ギャング・オブ・ニューヨーク」があまりにも詰まらなかったのでその後スルー していたスコセッシ作品。本作は監督がどうと言うより内容が面白そうだったので行って 来ました。

 オイラここではいつもネタバレ気にせず書いてるんだけど、本作に限ってはこれから 観たいと思ってる方は、これ以降は読まない方が良いと言っておきましょう。
 コレ結末を匂わせずには何も語れない作品です(と言った時点で既にヒントになっとるし…) この作品は結末を知ってて観るとそーとー辛いのではないかと思いますからねぇ。

 現時点で観る気の無い方。または結末を知ってても気にしないと言う方はどうぞ〜。

 そりゃ本格ミステリーだと思って観ますやねぇ、なにしろあの宣伝ですから。いや途中まで はきっとそうだろうと思って観てるワケですよ。
 閉鎖的な領域で起きた事件の謎を外部から来た人間が捜査して行く……って、謎解きサス ペンスの流れとしてアリじゃないですか、一番思い出したのは「薔薇の名前」ですね、凶悪な 患者だけを収監した病棟の迷路の様な内部が出て来た時なんか特にダブリましたね。

 途中までのサスペンスの効き方は尋常じゃないんですよ。こりゃ一体どうなるんだ? って、 そりゃ本格ミステリーと思って観てるワケですから。
 ナチスの残党が関わってるんだろうとか、政府の陰謀かなとかこっちもいろいろ推理を働か せて観てるワケですよ。
 それがだんだん「まさか?」になって来て「でもまさかなぁ」と思ってたらジャーン! まぁど うあれ最期まで十二分に面白かったですけどね、でも本格ミステリーを期待して観てた人は かなり怒ってるんじゃないかな。
 オレ小説の所謂「叙述ミステリー」っていうヤツが許せないんですけど、コレは言わばその 映画版です。
 本格ミステリーなら主人公の観ている幻想を現実として観客に認識させるなんて言語道断 ですよ。
 まぁ確かに宣伝で「コレは本格ミステリーです」と唄ってる訳ではないけれど「あなたはいつ この謎が解けるか」みたいな文句はアンフェアーだと思います。

 映画の場合は小説ほどには不快にならないんだけど、でもまぁ観終わってみると「なぁ んだ大した映画じゃなかったな」な印象なのは他の方々と大よそ同じ。

 コレはオイラの言う「ミイラ取りもミイラでした」シリーズの最新作です。
 ゾンビを探してたら自分もゾンビだった「ゾンゲリア」猟奇殺人犯を捜査していたら自分が 犯人だった「エンゼルハート」心霊現象を調べていたら自分も心霊だった「シックスセンス」 に継ぐ、精神病院を調べていたら自分も精神病患者だった編。

 いや〜しかしスコセッシよ! 才能は枯れる? と言うけれど、あ〜の「ミーンストリート」 〜「タクシードライバー」〜「グッドフェローズ」の理屈を超えた面白さはもう望めないのか……。
 もうすっかり普通に職人監督になってしまったんですかねぇ。コレは本当物語の面白さで、 監督がスコセッシじゃなくても作れる作品ですよ。
 もうスコセッシしにしか撮れない映画は観られないのかと思うと寂しいですね。



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