「昭和残侠伝 死んで貰います 」

 「いよっ! 健さんにっぽんいちっ!」と叫びたくなるラスト! 若い人もコレを観れば何故高倉健と言う人が神話化 し、今も大スターとして崇められているかが分かるでしょう。何と言うカッコ良さ! 何と言う男らしさ! 香港の「インフ ァナル・アフェア」観ててアンディ・ラウのカッコ良さに見とれていたら、どこかで感じた雰囲気だなぁと思ったら、それは 高倉健だった。

って言うか思えば健さんの方が何倍もカッコ良いじゃん! 東映任侠映画シリーズと言えば鶴田浩二とそれに 続く高倉健と言う感じだけど、どちらも本当は良い人なのに我慢に我慢を重ねて耐えに耐えた上で遂に爆発! 大暴れと言う 図式は同じ。鶴田浩二の場合は 「何でこんな良い人がヤクザなんだ?」 と言う感慨が湧いてしまうのに対して 健さんの場合はそのたたずまいに全く殺気が漲っている。ギロリと敵を睨み付けた時の凄みはどうだ! 殺陣にしても華麗と 言うよりは荒っぽく凶暴でバイオレンスな迫力がありますね。

 このシリーズは9作あるらしくって、全部は観てないけどこのマキノ雅弘監督による第7作が傑作とされているらしい。 パターンとしては足を洗って堅気になった健さんが真面目に暮らしてるのにあくどいヤクザの悪行三昧 に堪忍袋の緒が切れて最後は殴りこみに行くんだけど、必ず途中で昔の義理のある池辺良と待ち合わせをする。そこで例の決め台詞。健さんと一緒に行こうと待っていた池辺良に対して健さんが 「このオトシマエは、あっしにつけさせておくん ない」 すると良さんが応える 「きょうでえ(兄弟)そうはいかねえ、ご一緒させて頂きます」 で歌です 「唐獅子ぼ〜 たぁ〜ん〜♪」 で男ふたり着流し姿で殴りこみに行くなんと言うカッコ良さよ! 決して最初からは一緒に行かないんです。 途中で待ち合わせするのがミソなんですねぇ。

 そしていよいよ殴りこみで、今まで鬱積していた健さんの怒りが爆発して良さんとふたり大暴れ! い や〜カタルシスですねぇ、「死んで貰うぜ!」 と片っ端から悪者をたたっ斬る健さん! 観客の胸のつかえを一気に吹き飛 ばしてくれます。健さんは悪者たちに着物を切られて上半身裸になります。この肉体がブルース・リーですねぇ。リーの映画 を観て 「なんでいつも裸になるのかなぁ」 と言う疑問の答えがここにあります。リーは健さんに憧れてたんですねぇ。そ して相方の良さんだけはいつも死んじゃいます。健さんの腕に抱かれて息を引き取ります。男の友情ですねぇ〜だけどいつも生き残るのは健さんで良さん可哀そう。そこが大スターと脇役の差なのでしょうか。

 そして悪者をやっつけた健さんは一人警察 に連行されて行きます、ここですねぇ当時封切りの映画館ならきっと 「いよっ! 健さん! にっぽんいち!」 って声が かかるところでしょう。その健さんの勇姿はまんまリーの 「ドラゴン怒りの鉄拳」 ですよ。……ってしゃべり過ぎまし た(笑)ネタばれ通り越してまるで見た様な気になっちゃう文章でしたね。どうぞ皆さんご覧下さい。日本にも今の香港映画 なんか目じゃないこんなにもカッコ良い男の美学があったんですよ〜ソレが言いたかったんです。



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