「シュウマツはネクタイを締めて」

サニーサイドウォーカー第2回公演(2004年6月20日新宿シアターブラッツ)

昨年10月に阿佐ヶ谷で旗揚げ公演を成功させた劇団が新宿に進出しての第二弾! 今回のストーリー は旦那が末期癌でもう助からないと言う若い夫婦の、夫が寿命をまっとうするまでのお話。癌でもう助からない と分かっている夫が妻に連れられて自宅に退院してくるところから始まるのだが、そこには夫の知らない謎の同 居人が居座っていた!? この同居人と言うのはホームレスなのだが、神に認められた特別な人間であると自称 し、他に3人の仲間までも引き入れて楽器を演奏したりの大騒ぎになる。実はこのホームレスの六さんは夫に先 立たれる妻がひとりこの世に取り残されるのを悲観し、絶望的な気持ちになっているところを陽気に救ってくれ た救世主的な存在であったのだ。しかしそんな妻の気持ちを理解出来ない夫は怒り、ドタバタを繰り広げる・・ ・と言うコメディー仕立てで物語は展開し、やがて迎えるラストでは死に行く夫と妻の愛情の場面にホロリとさ せられる。ってなお芝居でした。最後はとっても感動的で心に染み入るモノがあるのだけれど・・そこまでに行 く序盤〜中盤がいかんともしがたい程に退屈してしまった・・・コレはどうしてだろう、とずっと考えていたの だけれど、ホームレスと妻と夫との物語上の関係性がハッキリしないまま騒々しいドタバタが延々と続いてしま った為か? 夫はもうすぐ死ぬと言う重い設定がしばし吹き飛んでしまうのは演出の意図だったのかもしれない けれど、中盤まで夫の影があまりにも薄すぎた。で後半唐突に死の恐怖に襲われた様に暴れだし、そこで初めて ホームレスのオジサンの言う「神様」と主人公の臨死体験がリンクして行くのだけれど・・・この辺からはとっ ても身につまされて俄然面白く気持ちも動かされて見れた。まぁ終わり良ければ全て良し、と言うこともあるけ れど、なんか空回りしてしまった前半部が勿体無いと思った。妻が何故ホームレスの六さんを家に住まわせてま で必要だったのか、六さんがこの物語に何故必要なのかのニュアンスをもっと早い段階でハッキリさせるべきだ ったのではないかな? でも見終わった印象はとってもハートウォーミングで、とっても良い余韻を残してくれ ました。この劇団は芝居に取り組む姿勢がとっても誠実で意気込みもあるので今後の展開を楽しみにしています。



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