「終戦のエンペラー」
すっかりアメリカナイズされた文化で育った世代としては、天皇は「日本国の象徴」にすぎず、ワイドショー等で皇族の報道とか見ても鼻白んでいた。
なので本作も外国人の立場から客観的に日本の文化を見るという興味で「こぉ〜れはスゲエ面白え〜」と斜に構えてたのだけれど……
日本の侵略戦争を批判する米兵の主人公に、中村雅俊演ずる近衛文麿が「欧米諸国の侵略の方が先だ」と反論する場面にゃ「そうだそうだ言ってやれ〜」という思いが沸き上がってきた。
天皇には戦争責任があるのか無いのか……という占領軍の調査が進み、ラストで遂に昭和天皇がマッカーサーの元へ馳せ参じる場面になると、思わぬ興奮が沸き上がってきた。
そこで昭和天皇がマッカーサーに言ったことは聞いたことがあるし、本当に真実なのかは分からないけれど。涙が溢れてきた!
この映画観て泣くなんて思ってもみなかったので驚いてしまった。自己分析してみるに、日本に生れた時点で宿っていたDNAが刺激されたのかな。
これまでの認識が改まったのは、天皇制が残されたのは日本をアメリカの子分として統治し易い様にしようというマッカーサーの思惑だと思ってたのが、本当はマッカーサーってそんなに良い人でも有能でも無かったのかな……ということ。
コーヒーのCMですっかりボケキャラなイメージのトミー・リー・ジョーンズのせいもあるかな。
アラブやパレスチナのことを思うと、人間は誇りにしている物を理不尽に奪われると、命をかけて反発してますよね。
もし東京裁判で天皇が裁かれて処刑されてたら……日本もまだ戦ってるのかもしれない……なんて想像が過ってしまった。オレ等は幸せですねぇ。それは昭和天皇のお陰なのかもしれませんね。
あとコレも思いがけず、亡くなられた夏八木勲さんが出演されていて、貫録ある演技にも胸が熱くなった。