「ターミナル」
テレビで流れてたあの予告を見ると、スピルバーグにトム・ハンクスだし、母国が戦争
状態になって帰れなくなった可哀そうな男の話……ってすごい深く大きな命題の人間ドラマを
期待するよなぁ……。
ところがどっこいコレって単館系でやってる良質のフランス映画みたいなノリなのだ。
コレはコレで決して悪くないし、ウィットに飛んだライトな人間ドラマではあるのだけれど、あの
予告編を作ったヤツが悪い……と言うかズルイでしょう!
でもスピルバーグにトム・ハンクスと言う売りでお客さんをたくさん入れようと企むなら、結果
的にあの予告が大正解なんでしょうね……騙されたと言っては言葉が悪いけど、あの予告でた
くさんお客さんは入るでしょうね……。
旅行中に母国が戦争になって帰れなくなった主人公と言う設定が大きくドラマの骨中を成す
のかと期待して見ると大きく肩透かしを食いました。
でもオレ決して嫌いな映画ではありません。むしろとても好きな小品です。
だけどコレをわざわざと言うのもヘンだけどスピルバーグとトム・ハンクスがやることは無いん
じゃないのかな。キャサリン・セタ・ジョーンズだって監督と主演が違ったらこの役は受けなかっ
たんじゃないかな? とまで思ってしまった。
スピルバーグはもう自分の趣味で作品を作る領域にまで達していると言えるのか。以前にス
ピルバーグの資質としてフランク・キャプラを踏襲していると言った人がいたけれど、コレはまさ
にそのニュアンスが前面に出た様な印象でしたね。
作品として好きなので決して文句言ってるワケじゃないんだけど(笑)コレはフランス映画で
主演も無名だけど上手いコメディアンか何かがやって、単館でひっそり上映してるのを偶然見
つけてみたい様な映画でしたね。そしたらもっと深く感動出来たのではないかな……。