「TAKESHIS’」
詰まらない、退屈、訳が分からん……コレはかつてフェリーニ「81/2」やウディ・アレン「スターダストメモリー」
に順ずる北野版と言ったところか。
自己の心象風景が変幻自在に綴られて行くのだけれど、観ている方には殆ど脈絡も無いので退屈してしまう。
公開当時テレビの対談で「座頭市」が当たったんだから今度は客が入らなくても自分の好きな様にやらせてくれ、
とスポンサーに言って作ったんだとか言ってたけど……自分でも分かって
るんだね、その辺はやっぱし凄いと思うけど。
シュールな笑いとか独特な理不尽とか「ああ……成る程たけしの頭
ン中はこんななんだ……」って面白いとこもあるんだけど、けど心象風景と言うならもっと凄いイマジネーション
でぶっ飛んだ世界にしてしまった方が良かったんでは? とも思ったなぁ、いっそ寺山修司「田園に死す」くらい
な感じで。あと自分の深層心理に切り込む? と言う意味では全然浅い気がした。
監督はきっとそんなに深くまで
観客に見せるつもりは無いんだろうけど、でもコレをやるならソコが見たいでしょう。もっと奥深くに潜むコンプ
レックスとか、原風景とか、言わば恥部をさらけ出してこそこっちも「うう〜む」と唸ってしまう訳で、どうも
頻繁に登場する銃撃戦は照れ隠しの為に拳銃ぶっ放して誤魔化してる様に見えたなぁ……まぁ、それも含めて
北野節なんだろうけどね。
インタビューで「過去の自作で好きな作品は?」と聞かれて「ソナチネ」は分かるけど、
「みんな〜やってるか」って……本人も「アレは本当にどうにもならなかったけれど、好きなんですよねぇ」って、
オレはアレは北野映画ワースト1だと思ってたけど、本作はワースト2かな。まぁ作り手の意志と観客の受け止め方のギャ
ップと言うのは永遠の課題なのかもしれませんけどねぇ。