「他人の目」

???(2003年12月20日高円寺・明石スタジオ)

これ聞き慣れない題名ですけど作者はかのピーター・シェーファー。おや、と思ってよく見ると一場物 で3人芝居、もしや・・・と思ったらやっぱし! かのキャロル・リードの隠れた名作「フォロー・ミー」の原 作戯曲でした! この映画は愛らしくて大好きで、実は原作が一場物の芝居だと知って前から読んでみたかった のだけれど、どうも見つからなくて、翻訳されていないんじゃないか・・なんて思ってたので、たまたま見つけ たこのお芝居は「それ行け」ってことで見に行って来ました(笑)とにかく申し訳ないけど台本に興味があった。 あれほど映画らしい映画もない! と言う程映画版はロンドンのロケーションや文字通りヒロインと探偵の言葉 を交わさないアイコンタクトだけの(それだけに異常にこころトキメク)デートの描写等、本当に映画の為に作 られたとしか思えない様なストーリーなのに、コレが舞台から一歩も外へ出ない、ましてや場面展開の無い一場 だけの舞台劇ってどんなんなんだろう・・・と思っていた。それがどうでしょう、さすがピーター・シェーファ ーなんて文句は今さら野暮だけど、素晴らしかった! ブラボーブラボー! と言うところか、全くこれはこれ で舞台ならではの素晴らしい戯曲になっていました。確かに同じストーリーを扱ってはいるのだけれど、映画は 映画ならではの素晴らしさ! 舞台は舞台ならではの素晴らしさになっていた! これはひとつ、また目からウ ロコが落ちた。舞台の方はロンドンの美しいロケーションが無いかわりに探偵の心の変遷が詳しく語られたり、 各々の心の葛藤がセリフで演じられるのに対して映画の方は映像で黙って見せて観客の心にイメージを膨らませ ると言う手法。どちらもその特性を活かした素晴らしい出来映えになっていた。



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