「ターミネーター4」
コレはもう他のレビューでも皆さん仰っている通り。「SFだろうがホラーだろうがヒーロー物
だろうが人間を描けていない物は面白くない」そのまんまですね。
そんなのはオレなんかもそうだけどちょっと映画やドラマを勉強した身なら基本中の基本として言
われていることなんじゃないのか。
今回新キャラとして登場した半人間・半機械なマーカス(だったかな?)が主役的なポジションでし
ょう。その彼に感情移入して観れないと言うのが致命的な欠陥ですね。台本書き直しですよ。
死刑になって遺体を献体したら改造人間になって復活させられた……と言う設定は面白いと思うけど、
それがメインのキャラなら絶対的に「何故彼は死刑になったのか」コレは外せないはず。劇中彼は自分
の兄と警察官を殺害したって言ってるけれど、それなら「何故兄と警官を殺さなければならなかったのか」
を描かなければ絶対に感情移入など出来るはずはない。
なので死刑になる時「チャンスは2度ない」と言っていた彼が「いや、チャンスは2度あった」と機械人間として
復活してから言っても何の感慨も湧かない。
全体の構成としてジョン・コナーとこのマーカスの出会い〜葛藤〜友情〜と言うストーリー展開なのだ
けれど、全く観客の気持ちを喚起することなく進んでしまうので、ラスト瀕死のジョン・コナーを救う為に
マーカスが「俺の心臓を移植して使ってくれ」と言うのも何だか「何コイツ急に言い出してんの?」となって
しまい、ここで作者の計算が見えると同時にそれが失敗してることが露呈してしまい、シラケるばかりだ。
あ〜のキャメロン時代(パート1及び2)の観る者の胸を熱くした人間の情熱は何処へやら「台本ヘタ
クソ!」と叫びたくなった。
そもそも未来の人類を救う宿命を背負っている筈のジョン・コナーにしたところで「そんなに必要な人間か?」
と思ってしまう。特に「彼でなければ人類を救うことが出来ない」と言う理由も感じられない。
って言うかジョンが将来過去にタイムスリップさせて自分の父親になるカイル(だったっけ?)を必死に救おう
とするのも「自分が生まれなければ人類を救うことが出来ない」と言うよりはただ単に「カイルが死ぬと
自分が生まれて来れなくなっちゃう」から必死になってる様に見えた。
聞けば超詰まんなかった「3」は無かったことになってるらしいけど「3」のヌケ作ジョン・コナーがこんな
凛々しくなる訳ゃないもんね。それにクリスチャン・ベールが劇画調の低い声で喋るとバットマンがチラつ
いてしまう。もっと他に役者いなかったのかよ!。
他の方々が語ってるの読むと大体皆さんオレと同じこと書いていますね。思うにファンのレベルに作り
手が追いついていないのではないのか。「作り手はもっと勉強しろよ!」と言いたくなる。こんななら怒って
るコアなファンに台本書かせた方がよっぽど上手く出来たんじゃないかな。
でもまぁ「ダイハード」や「ロッキー」もそうだけど、最初の作品が素晴らしいと、ついつい続編も観に
行っちゃうんだよな(笑)コレはファンの性と言うヤツで、作る方もそこに付け込んで、そんなつもりじゃ
なかったクセに儲かると思ってどんどんストーリーを後付けしてシリーズにしちゃうんだよねぇ。
だ〜けどそゆ意味じゃ同じ様にどんどん後付けシリーズを作って行ったかの「猿の惑星」シリーズ(全5作)
の何と面白かったことよ! このタイムパラドクスの発想はターミネーターシリーズにも踏襲されている訳で、
それにしちゃもう少し良く考えて作れよ! と言いたくなる。
と言う訳で本筋に期待出来なかった分余計な小ネタとかに目が行ってしまうんだけれど、列挙すると前半の
バイクターミネーター(だっけ?)とクレーン車のチェイスはまんま「マッドマックス2」ご丁寧にクレーン車の
フロントには「マッドマックス2」のトラックと同じ機関車のフェンダーが着いている。
まだ人間型のターミネーターT800(シュワちゃん!)が開発される前の金属ガイコツなターミネーター
がボロの服着て廃墟をさ迷ってる様は「ゾンビ」。
カイルと行動を共にしている口のきけない少女はマンガ「北斗の拳」の第一話の少女と後に登場する
みなしご兄妹の妹でしたね。
人間型のターミネーターを作る材料にする為に生きた人間をつかみ上げて捕虜にする巨大ロボットは
「宇宙戦争」。「トランスフォーマー」のマイケル・ベイが「アレは俺の真似だ」と文句言って、それをマックG
さんが否定してバトルになってるらしいけど、まるで目クソ鼻クソだ。
あ〜と例の終盤遂に開発された人間型ターミネーターT800(CGシュワちゃん!)が登場すると例の
デデンデンデデン♪ と音楽が鳴って大喝采(笑)まさにターミネーター=シュワちゃんであることが
再認識されますねぇ。まるで「死亡遊戯」のラスト近くでやっと本物のブルース・リーが出て来た時みた
いでした。