「テレフォン」

この作品の着想は77年としてはそーとー新しかった んじゃないかな。まだソ連が健在で東西冷戦真っ盛りだった頃、ソ連の国際スパイ組織であるKGBは恐るべき 人間兵器を開発していた。それは本人もそうとは知らないうちに潜在的な催眠術をかけられており、普通に生活 していてもあるキーワードを囁かれた途端に催眠状態に陥り、無意識のうちに自爆テロを起こしてしまうと言う ……。これが恐いのは自爆する本人も自分が自爆兵器にされていると言う自覚が無いこと。そもそもロシア人だ った記憶さえ消されており、自分はアメリカ人だと思って日常を過ごしている。それがある日突然掛かってきた 電話からキーワードを聞かされた瞬間に自失し、予め掛けられていた催眠術の指示に従って破壊活動をしてしま う。ストーリーはかつてそうした人間兵器を沢山作ってアメリカに送り込んでおいたものの、KGBの中の裏切 り者がその人間兵器を悪用しようと企む。それを阻止する為にKGBのエージェントで、極めて記憶力が良いと 言う設定のチャールズ・ブロンソンをアメリカに送り込む。この作品はソ連の秘密情報機関が主体で、主役のブ ロンソンもロシア人と言う設定。それをアメリカの映画会社が映画化しているんですから、まぁ映画の世界と言 うのは面白いですねぇ。しかも監督はかのミスターダーティーハリーのドン・シーゲル! しかし本作はしっか りした原作アリキのせいか、いつものシーゲル節な地に着いたアクションと言うよりはスパイ物な展開の面白さ ですね。コレをテレビで見た時解説の高嶋忠夫さんが言ってましたけど、実際にこうした催眠術の実験は行われ ていて、本人に暗示を掛けておいたキーワードを聞かせることで、ピアノ等を叩き壊すところまでは成功してい るのだとか……。そんなの聞くと現実味があって恐いですよねぇ〜。



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